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第31話

「ねーねー2人とも木曜の放課後暇〜?一緒に出かけようよ〜」 翔がいきなり声を上げてそういった。 「何かあったっけ?」 それに一番最初に反応したのは夏樹。 「ただの買い物ー!付き合って!」 買い物ぐらいならいいかな〜、しばらく出かけてなかったしぶらぶら見るのも楽しそうだ。 「俺はいいよ〜」 「じゃあ俺も行こうかな」 玲緒が承諾すると夏樹も賛同して、結局3人で行くことになった。 昼休み、またもやパンをかじりながら携帯を何度も確認してしまう。 「玲緒なんかあった?」 そんな俺をおかしく思ったのか翔が聞いてきた。 その横で夏樹もこちらをのぞいている。 話すべきか少し迷って、 「俺、恋人が出来たんだよね〜」 と、笑ってみた。 「え、まじで?!いつのまに!!」 「そうなんだ…で、誰?」 お馬鹿な翔と違って鋭い質問をしてくる夏樹。 「この前2人とも会ったよ」 っていったら2人とも記憶を辿りはじめて、 「わかんない!」 「俺もさっぱり分かんないわ」 「ダークスーツの…」 「「えぇ!?」」 ダークスーツの、とだけ言ったら2人ともすぐに分かったみたいだった。 「あれってヤクザの…」 そしてガタガタ震える翔。 「月宮さんっていう人で悪い人じゃないよ」 本当に、悪い人じゃない。 そういう想いを込めて2人を見つめて微笑んだ。 翔は固まったまま動かなかったけど 「お前がそういうなら大丈夫なんだろうな」 そう言って夏樹は翔をぱしんっと手ではたいて薄い微笑みを向けてくれた。 「うん夏樹ありがとうね...翔、大丈夫〜?」 「うぅ…ごめんレオ〜!」 翔は頭を抑えながらも俺に抱きついてきた。 2人には照れくさくてと恥ずかしくてが入り交じって言えなかったけど、 俺を受け入れてくれる2人がすっごく嬉しかった。

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