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第39話
七海から入院する必要はない、と言われて家に帰って良いことになった。
だけど、家に帰りたくなかった。
喧嘩をした後は誰とも会いたくなくなる。
それはいつも通りのことで大抵はネットカフェに寄り、気分が落ち着いてから帰っていた。
日によっては深夜だったり、朝だったり。
「唯…」
「なに?」
隣で車を運転する唯に話しかける。
唯は何をしていても絵になる。
かっこいいなぁと思う反面男として悔しいなぁ、とも思ってしまう。
「今日は唯の家に泊まりたい」
「いいけど…弟はいいのか?」
「うん…今は唯以外とは誰とも会いたくない気分」
「そうか、じゃあ泊まってけ」
唯のその言葉を聞いてなんでか分からないけどほっとした自分がいた。…ような気がする。
そっと携帯を操作し、LINEを開く。
『今日は帰れなくなっちゃった。ごめんね…。朝はちゃんと自分で起きて学校行くんだよ〜!』
と、葉月にメッセージを送って携帯の電源を落とした。
唯は優しくて大好き。
だけどこんなに甘えてていいのか少しだけ不安になる時がある。
そんな時は唯に抱きしめてもらったり唯に抱きついたりする。
そしたら少しだけ、その不安がなくなるんだ。
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