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第40話
「おじゃましまーす」
しばらくして唯の家についた。
玄関の鍵を開けて中に入る唯のすぐ後ろにぴったりとくっついて俺も中に入った。
ごろごろしながらテレビを見ていて、ある疑問が思いついた。
唯ってごはん食べたのかなぁ
玲緒は病院食というものを食べたからお腹いっぱいだったけど、唯はどうだろう?
「ゆーいっ!ごはんは?まだなら俺作るよ?」
ソファに座ってコーヒーを飲んでいた唯の膝に座って頰をつんつんとつついてみる。
「…食べたよ」
「そっかぁ〜」
頰をつんつんってしても俺に怒らなくてむしろ「ふっ」って笑っていた。
唯ってば心まで広いんだ。
「玲緒お風呂できた」
「あっ、ありがとう〜」
いつの間にか唯がお風呂を用意してくれていたみたいで、洗面所に行くと新品の下着と唯がいつも着てる服が置いてあってなんか恋人みたいだなぁ、なんて思った。
玲緒は早くお湯に浸かりたかったのでささっとシャワーを浴びてお湯に浸かった。
温かくて気持ち良い。
傷が多少しみて痛むが我慢できる程度だった。
それからお風呂を出て適当に体をタオルでふき、唯が用意してくれた衣類に袖を通した。
リビングに行くと唯はタバコを吸って座っていた。
「お風呂ありがと〜」
「あ、あぁ」
声をかけるとあからさまに動揺した唯。
どうかしたのかな?
「どうしたの?…あ!まさか!俺が服を裏表逆に着てるとか!?」
不安になって思わず自分の服を確認しようと脱ごうかと考えた。
「違うから!…俺も風呂に行ってくる」
…けど、違うみたいだ。
リビングにはタバコの残り香がほんのりと薫っていて、とてもとても甘い匂いに感じた。
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