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第43話

唯は抱っこした俺をベッドにそっと降ろしてくれた。 「もう寝るのか?」 「ん〜」 曖昧な返事をする俺に唯は眠いと思ったのか毛布をかけてくれた。 部屋から出て行こうとする唯の服の端をなんとか掴んでひっぱった。 「寂しいからここにいて」 唯はちょっとだけ驚いた顔をしたけどすぐに普通の顔に戻って俺の隣に来てくれた。 今はなんとなく唯に抱きしめて欲しくって、抱きしめてってお願いしてみたらぎゅうって抱きしめてくれた。 「ねえ唯」 「…眠いんじゃないのか?」 「眠くないよ」 「そうか」 「今は誰にも会いたくないけど唯には側にいてほしいの」 「わかったよ」 唯は大丈夫、と言い聞かせるように何度も俺に伝えてくれた。 どういう意味の大丈夫、なんだろ?なんて考えてたら唯は優しく頭を撫でてくれた。 「ん、唯に頭撫でられるの好きだよ〜」 「良かった」 そしたら唯はふにゃって笑ってくれた。 唯は普段あんまり笑わないから唯がこんな感じで笑うなんて知らなかった。 レアだ。写真に収めたい…。 そんな思いは叶わなかったけど…。 「俺さ、好きな人ができたんだ」

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