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第55話

俺の腕からするっと流れる赤色の液体。 部屋には鉄の匂いが広がっていく。 「なぁ、それ痛い?」 「別に平気だよ」 ニヤニヤとした笑顔で聞いてきた葉月に平気だと笑顔で返事をすると葉月は顔をしかめ、 「そうかよっ」 それだけを残して部屋を出て行った。 葉月にはあぁいったけど傷はとても痛かった。 血を水で流し、タオルを温めて傷を優しく押さえた。 「いったぁ」 両腕が痛む。 左腕は満足に動かせやしない。 葉月はこれで気が楽になったのかな? これ以上傷にならないよう、ガーゼを当てて包帯を巻いた。 それから玲緒は部屋に戻って英語のテキストを広げた。明日も学校があって英語の課題が明日提出だったのだ。 でも全然内容は頭に入ってこなくて結局朝方までかかってしまった。 そろそろ葉月が起きる時間だ、家を出よう。 それはさっきから考えていたことだった。 ここにいたら俺、ダメになっちゃう気がする。 教材を詰め込んだカバンをもち、制服に着替えてそっと家を出た。 登校までかなり時間があるからネットカフェで時間を潰そう。 そう思って玲緒はまだ明るい街の方へ歩き出した。

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