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第56話
ネットカフェの受付を済ませて個室に入り、安心した。
1人になることは今の玲緒にとって貴重な時間となっていたからだ。
正直、葉月といるのは辛いし面倒。
精神的にとかそういうのじゃないけどやっぱり俺も1人の人間なわけで、いらいらすることはどんどん溜まっていく。
それを上手く発散できる方法を知らない俺はケンカをする。
今は1月であと少しで葉月の受験も終わるから、しばらくはネカフェ生活もいいかなぁなんて考えていた。
漫画を読んでだらだらしているとあっという間に時間は過ぎて、登校するのにちょうど良い時間になっていた。
玲緒はそのままかばんを持って学校へ登校しようと個室を出て、学校へ向かった。
「おはよ〜」
「おはよ…夏樹は?」
「遅刻っぽいね〜」
学校に行くと翔が先に来ていて挨拶を交わした。
それから夏樹が来たのは午後の授業からだった。
「はよ〜」
「全然おはようっていう時間じゃないけどね〜」
「玲緒そういうこと言わない〜!夏樹!こんにちは、だよ〜!」
「あぁ、…次だるいからサボる」
お前来たばっかりだろ、と言いたくなるところをなんとか押さえて俺もサボることにした。
なんていったって次は体育。
1月の今は寒くてやってらんないよ、
「俺さ〜葉月の受験終わるまでネカフェ暮らしにすることにした〜」
「へぇ」
「えぇ!?玲緒大丈夫なの?!俺の家くる!?」
反応が薄い夏樹に心配してくれる翔。
「大丈夫だよ〜すぐ終わるし!」
それからも翔は俺にたくさんの質問をしてきて、夏樹はつまらなさそうに欠伸をしていた。
そんな感じで1日はすぐに終わり、真っ直ぐ家に…ではなくネカフェに入った。
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