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第57話
そして俺の平穏な時間が訪れる。
ばすだったのに
俺は今、唯の膝の上に座っている。
唯はうしろから玲緒を抱きしめながら座っているので逃げることは不可能だった。
遡るは30分前、部屋の中でだらだらとネットサーフィンをしていたらノックの音がして、返事をして開けてみると扉の前にはこわい顔の唯が立っていた。
「ゆ、唯〜離して」
「今はダメ…それよりなんでここにいるのかまだ聞いてない。ちゃんと話せ」
そう、唯はさっきからそれを聞き出そうとしている。
「気分転換だって言ってるじゃんか〜」
俺も葉月のことはなんだか言い出せなかった。
だってこの前家で見たとき唯と葉月はあんまり仲良くなさそうだったから。
俺の言葉を聞くと唯は少し寂しそうな、悲しそうな顔をして俯いた。
そんな顔されたら、言わないといけなくなるじゃん…。
「…葉月の受験終わるまで帰らないことにしたんだよ」
唯の俯いた顔を見つめながらゆっくりと口を動かした。
「…だったら俺の家に来ればいい」
そしたら今度は拗ねたような顔でそう言った。
唯がこんな顔するなんて…なかなかのレアだ。
なんていうか、かわいい?
「だって、迷惑かなって思って」
「お前が来るのに迷惑なんて思わない」
唯はくしゃくしゃと俺の頭を撫でてふわっとした笑顔で笑ってくれた。
それから唯の車に乗せてもらって、俺はいつのまにか眠りについていた。
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