58 / 337
第58話 唯side
寝てしまった玲緒を抱っこして車から降ろした。
できるだけ起こさないように注意しながらゆっくり歩いてエレベーターに乗り、部屋に入る。
寝室のベッドに寝かせて毛布を肩までかけてやり、唯も疲れていたので一緒に毛布に潜った。
玲緒は気持ち良さそうに寝息を立てている。
ふと、玲緒が隣で寝返りを打って唸っているが聞こえて慌ててそちらを向いた。
「ぃたぁ……」
痛い?何がだ?と不思議に思い、玲緒を見つめる。
骨折した左手は体の上にあって、下敷きにはなっていなかった。
とりあえず玲緒の体を仰向けに直して、右足、右腕、と順番づつ各所を押さえてみた
「ぅっ」
そして玲緒が唸り声をあげたのは右腕だった。
服をめくってみると、包帯がぐるぐると入念に巻いてあってそこからは薄っすらと赤い染みが広がっていた。
痛そうで苦しそうに身じろぎする玲緒。
白く細い腕をそっと手で持ち上げ、唯は包帯が巻かれた腕を上から優しく撫でた。
どういうことだ?
なんで腕に包帯をしていて、そこから血らしい赤色の染みができているんだ?
明日、玲緒に話を聞いてみよう。
唯はそ心の中でそう決めて玲緒の髪の毛に軽くキスをし、今度こそ眠りにつこうと瞳を閉じた。
ともだちにシェアしよう!