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第59話

朝、起きたらいつの間にか唯のベッドに寝ていた。 すごく驚いたけど、なんとか状況を把握して周りをみた。 そしたら隣に唯はいなくて軋む身体を起こしてリビングに行った。 リビングに行ったら唯は少しだけ怖い顔をしてコーヒーを飲んでいた。 なんで?俺、なにかしちゃったのかな? 「おはよう」 「おはよう…そこ座れ」 「やだ…なんで唯そんなに怖い顔してるの?」 それを言ったら唯は自分のほっぺをむにむにってして、笑顔を作った。 「怖い顔してないだろ?」 「うん…?」 「じゃあ座れ」 俺はちょっと戸惑いながらも唯の隣の椅子にゆっくりと座った。 唯は俺がちゃんと座ったのを確認すると俺の手を優しく握ってくれた。 「腕、みせてくれ」 そういって唯は右腕の袖をめくった。 現れたのは真っ白な包帯。 「これどうしたんだ?」 ゾクっと背筋に悪寒が走った。 「え、と…」 そして俺は自分の脳を必死に働かせた。 どうするのが最善の方法?何て答えれば良いの? だけど、分からない。 「怒らないから教えてくれ、ただ玲緒のことを……体も心も全部…守りたいんだよ」 唯は俺を優しく、でも力強く抱きしめてくれた。 唯のその行動に決心して話すことを決めた。 「カッターで切ったんだよ…」 「なんでだ?」 「……」 「玲緒」 なにも答えられない俺に唯は優しく俺の名前を呼んでくれる。 「っ…葉月がそうしてほしいって…言うから、切っちゃった」 唯に心配しないでって笑いかけると悲しそうな顔して、またぎゅうって抱きしめてくれた。 「怒らないでね…葉月にも」 「…あぁ」 すぐに返事は返ってこなくて間があったけど、唯ならきっと怒らないでくれるはず。 しばらくして唯はココアを淹れてくれて午前中は一緒にいちゃいちゃしながらもだらだら過ごした。

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