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第62話
「玲緒くんは趣味とかあるの?」
「うーん…特にはないかなぁ」
八坂さんはとってもおしゃべりな人で俺が話さなくてもどんどん話題が出てきた。
マシンガントークっていうのはこういうことをいうんだなろうなぁって生まれて初めて思った。
「玲緒くんってめちゃめちゃ綺麗だよね…普段何かしたりしてるの?」
「えっ、俺すっごく普通ですよ!それに何もしてないです!」
「嘘でしょ...こんな美青年が天然物とか…」
八坂さんは驚いた顔で何かをぼそっと言っていたみたいだけど聞き取れなくて、なんですか?って聞いてみてもニコニコするだけで教えてくれなかった。
「唯さんのどこが好きなのー?」
八坂さんはニヤニヤっていう笑顔を見せながらそんなことを聞いてきた。
「うーん…唯のどこがって…俺、全部好き…唯っていう存在も…?上手く言えないですけど、唯がいてくれればなんでもできそうだなぁって………八坂さん?」
途中から笑い出した八坂さんを不思議に思って、顔を伺ってみた。
「ごめんごめん!…よかったねぇ、唯さん〜」
唯さん?
後ろを振り返ってみると扉の向こう側に人影が見えた。
そしてその人影は扉を開けて顔を出した。
そこからは良く知っている顔が現れた。
「唯!もう終わったの?」
俺は唯が戻ってきて安心感に満たされていた。
だからさっき自分が言ってたこともすっかり忘れてしまっていた。
「終わったよ。…帰るか」
「うんっ!」
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