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第65話

コンコンと軽く2回ノックをして職員室に入った。 「失礼しまーす逢坂玲緒です」 「おぉ、逢坂!こっちだ」 名前をいって職員室を見渡してみると、 先に戻っていたらしい担任が手を招いて待合室に案内してくれた。 そこには俺のよく知っている人____ 「あぁ、玲緒久しぶりだね。元気だった?」 スーツ姿の兄貴が座っていた。 「なに、してんの?」 「ちょっと玲緒に用があってね…ここじゃあれだから…移動しようか」 そういって兄貴は目を伏せた。 それから学校を出て兄貴に連れられ、学校近くのカフェに入った。 お店の中は暖房が効いていて外との温度差激しく、とても暖かかった。 何を話すつもりなんだろう 兄貴から出向いてくるなんて…しかも学校に。 「好きなもの頼んでいいよ」 「あ、うん」 色々な考えを巡らせていると兄貴がそう声をかけてきて、俺はとりあえずココアを頼んだ。 ココアは唯がよく淹れてくれるから玲緒にとって大好きな飲み物になっていた。 少ししてからウェイターによって兄貴にコーヒー、俺にココアが運ばれて来た。 その飲み物を飲みながら兄貴はゆっくりと口を開いた。 「葉月がとても困っているようでね、昨日連絡がきたんだよ。「玲緒兄ちゃんが帰ってこない!どうしよう!助けて」…ってね、泣いてたよ」 「そう、なんだ」 葉月は玲緒のことを「玲緒兄ちゃん」なんて呼ばない。 気持ち悪い、 兄貴だって葉月に騙されてるんだ。 「どうしたの?葉月と何かあった?」 兄貴は何も知らないから俺にそんなことを聞いてくる。 何かあった、って普通気づいてくれるものじゃないのかなぁ 唯、唯なら気が付いてくれるのに…。 余計な思考を追い払って兄貴との会話に集中する。 「…いや、何もないよ。だけど葉月の負担になると思ったから家に帰らなかっただけ」 「そうだったんだ。ところで今はどこにいるの?」 「えっと、……友達の家」 ちょっと詰まっちゃったけど、俺はそうはっきりと言った。 そしたら兄貴も困った笑顔を俺に向けながら、ゆっくりと口を開いた。 「…実は葉月からもう1つ気になることを聞いたんだよね」 トクン、と鼓動が早まるのが分かった。

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