「ヤクザ関係の人と仲良いんだって？」 「え、ぁ、…と」 俺は視線を宙に放り投げた。 兄貴の目をまっすぐ見られない。 なんで、 なんで知ってるの？ 「玲緒」 優しいような少し厳しい声。 そんな声で俺のことを呼んでちゃんと聞け、とでも言うように顔を上に上げさせられた。 「ちゃんと見て…あんまりそういう人たちと仲良くなるのはダメだ。玲緒自身が危ないよ、もう会わないようにしなさい」 兄貴の口から放たれる言葉は俺を心配している言葉ばかり、でも反対に唯たちのことを悪く言う言葉としても受け取ることができた。 唯は、唯たちは悪い人なんかじゃない。 「嫌だ…ダメ、だ…」 はっきりと口に出しては言えない否定の言葉。 だから俺はダメなんだろうなぁ 兄貴はやっぱり聞こえてないみたいで軽く首を傾けて俺を見つめている。 「葉月も、一緒に…家で話す」 そしてようやく伝えられた言葉は短くて声も小さかったけど、兄貴の耳にちゃんと届いたようだった。