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第72話

「ゆい、セックス…したい、」 そういうと玲緒は唯のスラックスへ手をかけてベルトを丁寧に外し始めた 「そんなことしなくていい…」 「したいの…お願い唯」 「でも…」 唯はちらりとキッチンの方を見た。 ごはんがまだ、ということを言いたいのだろう。 ごはんなんて今は要らない。 唯がほしい。 自分の存在を肯定してほしい、求められたい。 「玲緒にごはんを食べさせることが先」 少し戸惑った様子を見せたあとそう言い切った唯はエプロンをつけて準備をし始めた。 「…っ!じゃあいいもん!俺、1人でするし…!あとでヤりたいっていっても絶対!ダメだからね」 もやもやする。 何も考えたくない。 やだやだやだ。 なんで…ごはんなんか要らないのに、 玲緒は唯の方を少し睨んでからソファに座りなおした。 キッチンからは十分に見える位置だ。 唯はそんな玲緒を放ってごはんを作る準備にとりかかっていた。 ゆっくりと手を下に持っていって、いつも唯がやってくれるように触った。 「ふ、はぁ、…はぁ、っ、」 左手は胸を服の上から優しく撫でるように触った。 「んぅっ、…」 だめ、もう感じてる 自身からは先走りが溢れていてトロトロだ。 だけど、この前みたいに気持ち良くない…。 玲緒は先走りをすくい取り指に纏わらせて後孔を慣らせた。 「あっ、…ぅ…」 自分の指を一本入れて動かしてみる。 「んんぅ〜…、ぃ…ゆ、いぃ…ふ、ぅんっ」 上手くできない。 チラッと唯の方をみても唯は全然こっちをみてくれてなくて、なんだか悲しくなった。 ぽろぽろ、と落ちてくる涙。 それに気がついてごしごしと目を擦った。 唯の方をもう一度みてみるとごはんを作り終えたようで、リビングから出ていってしまった。 「や、やだぁっ、…ゆいっゆいぃ!…ひっ、ぐ…ごめ、なさ、もう、しないっ、からぁ、ゆいっ」 部屋には玲緒の声だけが響いた。 唯が出ていってしまった部屋には玲緒しか居ないから返事が返ってこないのは当たり前だ。 何やってんだろ俺。 そう考えたら涙が止まらなくて体育座りで自分の体を抱きしめるようにうずくまった。 「れーおこっちおいで」 いつの間にか聞こえたその声にパッと上を向くと唯がいた。 戻ってきてくれたんだってすごく嬉しくなったけど、その手に持ってるものに不信感を覚えた。 「ゆ、い?それ…なに?」 そう聞くと滅多にしないニコリとした笑顔でこう答えた。 「ローターっていうもの」 「なに、に…使うの?」 「玲緒を気持ち良くしてくれる」 「っ、やだ、やだ!」 それを聞いて、なんとなく使い道もわかってしまった。 だけどそんなの嫌だ、唯がいい。 そんな俺の声は届かなくて唯は俺の解れた後孔にローションを垂らしてそれをゆっくりと挿れた。 「ちなみにそれ、勝手に抜いたら1週間はしないから…ほら、早くご飯食べちゃえ」 最後に意地悪な笑みを向けてから唯はご飯の並べられた机の椅子に座った。

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