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第76話 唯side
「よか、…た…」
そう言って玲緒はゆっくりと意識を手放した。
玲緒の中から自身を抜きながら、流石にやりすぎたか、と反省して後始末を始めた。
家に帰った時からいつもより甘えてきてすぐにセックスをしたがった玲緒。
そんな玲緒が可愛くて一度も使ったことのないローターを使って意地悪をしてしまった。
玲緒は疲れたようにぐったりと眠っていて起きる気配がなかった。
やっぱり今日は少し様子が変だった。
いつも…といっても、まだ数回しか体を重ねたことはないが、玲緒はあんなに積極的ではない。
どこかで不安を抱えていたようだった。
それを消し去るために唯を求めていた、ような気がした。
玲緒が不安や恐れを取り除くために唯を求めたのだったらそれはとても嬉しかった。
このまま唯がいなければ生きていけなくなればいいのに、とそんな風にまで考えていた。
唯にとって玲緒はいなくてはならない存在になった。
出会った時はただの一目惚れだった。
だけど玲緒の兄の代わりをするうちに、玲緒から好意を伝えられ、どんどん玲緒に溺れていった。
その好意が偽物でも本物でもないことは分かっていた。
だから今は玲緒から本当の愛を受け取ることが出来てとても嬉しいんだ。
だけど、玲緒がもっとほしい。
いつのまにかその欲は大きくなっていた。
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