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第77話 唯side
朝、携帯のバイブ音で目が覚めた。
玲緒は隣でまだ眠っていて、スースーと規則的な寝息をたてていた。
なかなか鳴り止まないバイブ音。
仕方なく体を起こして音の発信源を探した。
そしてたどり着いたのは玲緒の携帯。
ディスプレイに表示されているのは「兄」という質素な文字。
もしかして昨日、玲緒の様子がおかしかったのはお兄さんと何かあったからなのだろうか…
何も言わずに泊まりにきていたのだとしたら心配をかけるだろうと思って、少し悪い気もしたが電話に出ることにした。
『おはよう玲緒…兄ちゃんだけど…』
「すみません、玲緒…さんはまだ寝ていて…」
電話から聞こえてきた声は優しそうな落ち着いた声だった。
『え、と…これ、玲緒の携帯ですよね?どちら様でしょうか?』
その声はさっきとは違って厳しい声音になった。
「申し遅れてすみません。月宮といいます。昨晩は玲緒くんをお預かりしました。」
『そう、でしたか…玲緒の兄です。少しお話ししたいことがあるのでお時間がよろしければ会っていただけませんか?』
それから玲緒を起こして、学校へ行く支度をさせた。
玲緒は学校に行きたくないと駄々をこねたが、唯としては休ませるわけにはいかない。
渋る玲緒にお弁当を渡して頰にキスを落としてから送り出した。
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