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第81話 唯side

「唯、セックスしたい」 家について玄関で靴を脱いでいる時、玲緒に後ろから抱きしめられてそう言われた。 「…玲緒、ちょっとだけ話そうか」 やだやだ、と言ってなかなか離してくれない玲緒をなんとかなだめて俗に言うお姫様だっこでリビングまで運んだ。 「玲緒…」 「やだ…やだ…いまは、やだっ、」 話を聞こうとせずに両手で耳を塞いだ玲緒。 「玲緒、俺のことは嫌い?」 「嫌いじゃないよ…!」 「じゃあ聞いてくれるか?」 「…………」 玲緒は唯の顔も見ないで下を向いていた。 ここからではよく見えないが、瞳にうっすらと涙を浮かべているようだった。 そんな玲緒を抱き上げ、膝の上に乗せた。 「れーお」 「…ん」 金色に染められたサラサラの髪の毛を優しく撫でてやると玲緒は瞳を閉じた。 「…俺、と…別れる…の?」 「別れないよ、大丈夫側にいるから…こわいことは何もない」 「…唯、ちゅー」 唯のその言葉を聞いて少し安心したのか玲緒はさっきよりは穏やかな表情だった。 瞳を閉じてキスを強請る玲緒に唇を押し付けた。 「ゆい、もっと…」 「あぁ」

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