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第85話

「唯ってヤクザって感じしないね〜」 唯の作ったおいしそうな朝ごはんを食卓に並べながら玲緒はそういった。 「まぁ…事務作業の方が多いかもな」 「へぇ〜」 全てを運び終えて、2人は椅子に座る。 唯の作るごはんは本当に美味しい。 料理はあたたかいし、綺麗で、何より一緒に食べてくれる唯がいる。 「ん〜、おいしい!すごい!!」 「良かった」 玲緒は唯の料理を食べる時は必ず、おいしいと直接唯に言うようにしている。 それを聞くと唯は優しく微笑んでくれるんだ。 その笑顔を見れるのが嬉しい。 「玲緒、今日は何か予定ある?」 「え?ないけど…」 朝ごはんを食べ終わったあと、リビングでごろごろしながらスマホをいじっていた玲緒に唯が突然話しかけてきた。 そんなこと聞かれたことがなかったので少々驚きながらも返事をした。 「じゃあ美鶴さんとこ、行ってみるか?」 唯の口から紡がれた兄の名前に玲緒は息を飲み込んだ。 「…っ………ゆい」 否定されるのが、こわい。 唯を見つめてみると、ちょっとだけ悲しそうな顔で微笑んでいた。 「無理しなくても良いから、」 唯としては、ちゃんと兄貴と話してほしいんだろうと考えていそうなことが分かっていた。 どうしたら良いのか分からない。 そんな不安な想いから唯にすり寄って抱っこして欲しくて腕を広げたら優しく抱き上げてくれた。 「俺、頑張ったら唯は褒めてくれる?」 「当たり前だよ」 唯は俺の髪を指で梳かし、頭を撫でてくれた。 「好き、です…唯」 俺はそういって自分の唇をぐいっと唯に押し付けた。

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