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第86話

唯は意外にも思い立ったらすぐ行動!っていうタイプだったらしくて準備が出来次第すぐに車に乗り込んだ。 少しでも時間を遅らせるために信号が赤になりますようにって祈ってたんだけど車が通る道の信号は全て青だった。 それから程なくして家についてしまって唯の腕にぎゅうってしがみついた。 「…大丈夫だから」 唯はそんな俺を見て少しだけ震える手を掴んで微笑みながらそういってくれた。 唯の「大丈夫」と言う言葉1つで俺はこんなにも安心できるようになっていた。 「こんにちは」 俺が毎日家に入る前に深呼吸して心の準備をしてから入る扉を唯はいとも簡単に通った。 なんだか不思議な気持ちをもちながら俺も唯のあとにくっついた。 「はーい、お待ちしていました」 あらかじめ来ることを知っていたように間延びした兄貴の返事とともに兄貴が出てきて俺たちをリビングに通してくれた。 前に来た時よりリビングは綺麗に整頓されていて、ソファには葉月が座っていた。 きっと兄貴が掃除したんだろうなぁ 「どうぞお座りください」 兄貴が紅茶の入ったティーカップを唯と俺の前に出してくれてにっこりと愛想の良い笑顔を浮かべていた。 「それで、答えは出ましたか」 容赦なく言葉を紡ぐ兄貴の声が部屋にしんっと響き渡った。

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