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第95話
「おつかれさま〜!」
「ありがとうございます!」
仕事を終えて、近くのカフェに入ると八坂さんはもう座っていて手でくいくいっと誘導された。
従業員出口で待たれるのは嫌だったので、ここで待ち合わせることに決めたのだ。
あらかじめ八坂が注文しておいてくれたらしいアイスココアを飲みながら、話を聞くとにした。
「唯さんと別れたのは聞いてるよ…玲緒くんも大変だったね」
「あ、そうだったんですね…」
「それで今はどうしてるの?」
「え、っと…」
「唯さんには言わないから安心してよ!」
それが心配っていうことじゃないんだ。
ただ、結城と俺の関係をなんて言い表したら良いのか分からなくて俺は考えを巡らせていた。
結城と愛し合ったりするけど恋人じゃない。
「…今は一緒に住んでる、っていうのかなぁ…でもそんな感じの人がいます」
えへへ、と笑ってみせると八坂は少しだけ驚いたような顔をしていた。
「そうなんだねぇ、ていうか玲緒くん最近また喧嘩してるでしょ…報告きてるよ〜、だめだよ!玲緒くんが怪我するの俺、嫌なんだからね!」
「わっ、ほんとですか!?…やだなぁ…最近はバレないように街から出てたのに…」
「っ、…だからほどほどにね!」
それから他愛のない話をしてから八坂さんと別れた。
久しぶりに結城以外の人とまともな会話をした気がする。
学校でも今のままじゃだめだよな、今度からは気を入れ替えてもう一回がんばろう。
そんなことを考えながら結城の家の玄関を開けた。
「ただいま〜」
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