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第97話 唯side
「まずはですねぇ、玲緒くん最近また喧嘩悪化してきてるみたいですよ〜」
「…あ?」
街での喧嘩案件の中に玲緒らしい人物の書類はなかったはずだ。
毎日組にくる街での喧嘩報告書類の中に心のどこかで玲緒ことを探している自分がいた。
「本当は報告なんて来てないけど、カマかけてみたんですよ〜」
八坂は適当なイメージがあって、あんまり玲緒のことは気にしていないと思っていたが、さっきから話を聞いていて気にしていてくれたんだと感じ取った。
「そしたらすっごい慌てた様子で謝られたんです。ついでに最近は俺たちにバレないように街から出て喧嘩してるらしいですよ〜」
「……」
何も言えなかった。
玲緒の邪魔にならないように玲緒と離れることを決めた。
玲緒のことは本当に手放したくなかった。
大切で最も愛している人。
離れたくないと同時にそんな彼の人生を狂わせてしまうのも嫌だった。
「これじゃ意味無いな…」
ははっ、と自分の乾いた笑い声が響いたのが嫌でもはっきりと聞こえた。
「もう1つは玲緒くん、一緒に住んでる人がいるみたいですよ〜」
八坂はそういって、画面をスクロールした。
そこには駅近くのマンションに入っていく玲緒の姿、男と一緒に楽しそうに談笑しながら歩いている姿が写真に収められていた。
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