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第102話
「ゆ、い…?」
目の前に立って動かなかった唯。
そんな唯に声をかけたら俺の視界はぐるっと反転した。
そして唯からの乱暴なキスが落ちてくる。
「んっ、…」
嫌、思い出したくない。
忘れようとしてたのに、これじゃ忘れられなくなっちゃう。
「や、やだっ」
俺は必死に抵抗して唯の体を押し返すけど、唯にしたら俺は非力で意味が無いらしくてぴくりとも動かない。
その間にも唯の手はするっと俺の服の中に入り込んできて胸の飾りに触れた。
「ひゃっ、…やだっ、やめてっ」
だけど唯はやめてくれない。
「…ひっ、ぐ…無理やり、なの、っ…やだぁっ…ゆ、き、ゆうきっ」
俺は結城の名前をひたすら呼んだ。
こわい、こわいよ
助けて、お願い。
「他の男の名前、呼ぶな」
唯は俺を睨みながら口を開いた、と思ったらそんなことを言い放った。
それを聞いて俺の中で何かが動いた。
「っ!だって、…だって先に手を離したのは唯じゃんか!勝手に、別れるって言ったのは唯だ!!」
俺は唯の手を必死に払いながらそう言った。
そしたら唯は驚いたあと、ちょっと悲しそうな寂しそうな、そんな顔をした。
なんだよ、自分から俺との関係を切ったくせにそんな顔するなんて…
意味わかんないよ、
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