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第103話 唯side

一ヶ月前。 俺は玲緒から離れた。 それを決めたのは俺だ。 美鶴さんと話して、玲緒にとって俺が良い存在ではないことを思い知らされた。 それからヤクザに関わる、その事実は玲緒にとって大きなマイナスだとも思った。 すべて分かっていたはずなのに、分かっていなかった。 最初は玲緒の兄、つまり美鶴の代わりをするだけだった。 だけど玲緒から愛情を受け取り、もう戻れなくなっていた。 好きだった。 どうしようもないくらい。 好きで好きで、とても大事だったんだ。 大切だからこそ、玲緒のために離れることができた。 だけど八坂から話を聞いた時は酷く胸が痛かった。 差し出された写真に写っているのは楽しそうに男と一緒に歩いている玲緒。 なんで隣にいるのが俺じゃないんだ、 そればっかり考えていた。 他の男になんて渡したくない。 じゃあこの気持ちはどうしたら良いんだ? そう考えた時、意外にも簡単に答えは出た。 俺が玲緒から離れなければ良かったんだ。 美鶴さんや葉月には認めてもらえないかもしれないけど、それで生きていけない訳じゃない。 もし玲緒がヤクザと関わりがあるということで社会から遠ざけられるようならば俺が養っていけば良い。 なんであの時この答えを見つけられなかったのだろうか、 玲緒に今すぐ、会いに行きたかった。 結局それは八坂に止められて玲緒に会えたのは次の日だったが…。 久しぶりに会った玲緒。 白く細い体には俺ではない、あの男が付けた無数の赤い独占の跡。 俺の名前ではなく、ほかの男の名前を呼んだ。

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