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第105話

「悪かった」 その後も唯はそれだけしか言わなかった。 帰ることが出来なくて悲しいのか 結城に会えないのが悲しいのか 唯と一緒にいるのが悲しいのか 何が悲しいのか分からないけど、俺はただひたすら泣き続けていた。 そんな俺を唯は自分の胸に抱き寄せて俺を落ち着かせようと頭を撫でてくれた。 唯のそれは俺を落ち着かせてくれた。 なんていうか、安心する。 ダメって頭の中では分かってるんだ。 だけど安心することを止めることはできない。 唯がもっと欲しくなる。 今日は色々あったからかなぁ、だんだん眠くなってきた。 唯に撫でてもらうのは安心するとともに今の玲緒の眠気を誘う行為にもなった。 玲緒は落ちてくる瞼を抵抗せず受け入れた。 意識を手放す瞬間に、唯のごはん食べたかったなぁなんて後悔している自分がいた。 起きたら何か変わってるかなぁ 変わってるといいなぁ だけどそんな願いは届かない。 数時間後、足首の鎖の重さを感じながら目を覚ました俺は、現実は何一つ変わっていなかったということを知ることになる。

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