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第106話
朝、唯の声で起きた俺。
「玲緒、朝ごはんできた。食べろ」
唯がそう言って、見てみると俺のために作られた料理がテーブルに並べられていた。
「うん、…」
色鮮やかで綺麗な料理。
色鮮やか、ということはもちろん野菜の緑もたくさん入っていた。
今日の朝ごはんはパンケーキと野菜サラダそれにデザートらしいゼリー。
パンケーキは俺の大好きな食べ物で唯は良く作ってくれる。
*
野菜サラダには一切手をつけず俺をパンケーキを平らげた。
残しておいたゼリーを食べようとしたらふいっと上に持ち上げられて思わず、あっと声を上げる。
その先をたどってみると唯がいる。
「…なんでとるの」
取り上げられたことにむっとしてちょっとだけ睨みながら唯に言った。
そしたら唯は溜息なんかついちゃって、呆れた顔をしながら
「野菜食べないからだろ」
って、そう言った。
食べられたらゼリーも食べていい、っていうのも付け加えて。
「…結城は、…」
俺はいらいらして、なぜか結城のことが頭によぎった。
唯は聞こえなかったのか首を少し傾げていた。
「結城は!そんなことしなかった!俺が嫌だって言ったらしょうがないなって…!」
そういって結城特製野菜ジュースを飲ませてくるようになった。
だけどそれはあえて言わなかった。
唯は何も言わなくなっちゃって、こわくなった。
そろりと顔を上げてみると悲しそうな、複雑な顔をした唯がいた。
唯のその顔を見てやっちゃった、ってそう思った。
結城のことを掛け合いに出すなんて…俺、最低だ…。
「ご、ごめんなさいっ本当にごめん」
俺はそれから必死に何度も頭を下げて唯に謝った。
「…もういいから早く食べろ」
そしたら唯は俺の頭を撫でてゼリーを目の前においてくれた。
それでもまだゼリーを口に運ぶことができなくて、俺は俯いたままでいた。
「もう気にしてねぇから。…………はぁ、仕方ないな、ほら口開けろ」
ぐいっと顎を持ち上げられ、半ば強引に上を向かされる。
「ん、………おいしい...」
ひんやりとした感覚が舌に触れて甘くて柔らかい食感を与えられる。
「…ごめんなさい。ありがとう唯」
ゼリーを全て食べ終えて隣に座っている唯にそう言った。
「別にいいから…気にすんな」
唯は俺にふわって笑ってくれて、あぁこの顔見るの結構久しぶりだなぁなんて思ってた。
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