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第121話 唯side

夜、何かの音で目が覚めた。 気にせずに眠ろうとして隣にいるはずの玲緒の体温を抱きしめようとするが、伸ばした腕は空を舞う。 それに驚いて瞳を開き、よく見てみると寝室のドアが少し開いていた。 気になって廊下に出るとトイレの電気がついていて、中を覗いてみると玲緒がいた。 「…玲緒?」 まだぼんやりとした頭で名前を呼んだ。 何をしているのか分からなくてよく見てみると膝をついてトイレに向かって吐いていた。 それをみて一気に頭が冷えた。 「っ、どうした、大丈夫か…?」 慌てて声をかけると玲緒は苦しそうに息をしながら返事を返してくれる。 「うぇっ、…ひ、は、ぁ…きもち、わるっ、うぇぇっ」 「大丈夫だから……」 そう言って俺はなかなか吐き気が収まらない玲緒の震えている体をさすった。 なんでこんなになるまで気が付かなかったんだ。 玲緒の体調一つ気付けない自分に心底腹が立ち、嫌気がさした。 「起こし、ちゃって…ごめ、なさい」 しばらくして吐き気が収まった玲緒を綺麗にしてからベッドまで運んだ。 そしたらそんなことを言ってきて、玲緒は自分が悪いことをしていると思ってるようで胸が痛かった。 悪いことは何一つしていないのに。 でもそういう考え方をさせてしまうのは俺のせいでもあるんたろう。 「そんなことどうでもいいから……熱あるな」 顔をほんのり赤くしてベッドに横になっている玲緒の額に手を当てるととても熱かった。 これはきっと酷い熱だ。 どうしようかと悩んでいると玲緒は俺のことを見つめて寝る様子がなかった。 熱のせいか、いつもよりとろんとした瞳で可愛い。 頬を撫でるように触ると俺の手にすりすりと頬ずりをしてくる。 しばらく動かないでそんな玲緒の様子をみているとだんだん動かなくなって、寝たようだった。 とにかく明日、七海に来てもらおう。 そう思った唯は携帯を操作し連絡帳から七海の名前を探し、メールを送った。

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