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第111話

「あ、玲緒くん!やっほ〜!」 校門前にある駐車場には見たことのある車、よく知っている人物がいた。 よく知ってるなんて言っていいのかわかんないけど… この人が来るなんて嫌な予感しかしない。 「あ、八坂さん……こんにちは」 俺はわざと明るい声と笑顔を意識してあいさつした。 「こんにちは〜っと、なんで俺がここにいるか分かる?」 優しい笑顔で聞いてくる八坂さん。 いつもは別になんとも思わないのに今日はなんでか、少しだけひんやりとしたものを感じてこわいって思った。 「分かんない、です……すみません俺、家に帰らなきゃいけないので…」 本当はわかってる気もするけど、俺はもう監禁なんて嫌だから知らないふりをした。 「うーん帰してあげたいんだけど俺も唯さんに頼まれてるからなぁ〜でも殴り合いも玲緒くん強いって聞いてるからやだなぁ…」 だったら帰ればいいのに、なんて思いながら止めていた足を再び動かした。 「あ、待って待って!お願い!言うこと聞いて車乗ってくれない?」 そういって俺の制服の端を掴んできた八坂さん。 これから監禁されると分かっていて誰が言うことを聞くというのだろう。 「すみません」と苦笑いをしながら通り過ぎようとした。 「あーもう仕方ないよね…ごめん玲緒くんっ」 そう聞こえた瞬間、首に痛みが走ってまずいと思った時には遅く俺は意識を手放していた。

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