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第112話
「…あ、おはよ〜玲緒くん」
目を覚ますと俺は車の中で眠っていたようだった。
八坂さんがニコニコしながら俺の方を伺っているのがわかった。
気が付けば、腕は紐でぐるぐるっときつく縛り上げられていて少し痛かった。
「さっきはごめんね〜、だけど俺も仕事だから…せめてもの気遣いで玲緒くんが意識戻ったら唯さんの家に連れていこうと思って目覚ますの待ってたんだよ〜」
と言って八坂さんはにっこり微笑んだ。
気遣いなんかいらないので家に帰りたいです…
八坂さんは車を運転させていて、どうやらいままでドライブを楽しんでいたようだった。
たしかに意識が無い時に引き渡されて、目が覚めたら怒った唯がいるなんて絶対嫌だなぁ
「そんじゃ、出発しまーす!」
俺の沈んだ気持ちには似合わない明るい声で八坂さんはそういった。
行きたくない、着かないで、と思えば思うほど唯の家は近くなり良く知った景色が窓の外を流れ始めた。
隣で車を運転する八坂さんは呑気に鼻歌なんか歌っててすっごい笑顔。
その真逆に俺の顔はどんどん曇っていった。
怒られるかな…いや、怒られるより辛いこと……うーん…無視…とか?よくわかんないや。
…痛いのは嫌だなぁ
1日しか学校行けなかった。
これでまた監禁されるし、多分前よりひどくなる気がする。
逃げない方が良かったのかな?
帰るの、嫌だな…。
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