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第115話
「…とりあえず話は聞く、なんで家から出た」
唯はこわい顔のままソファに俺を下ろし、そう聞いてきた。
「がっこ、いきっ、たくでっ、…おれっ、もぅ…じゅけ、せいっ、に、…ぅう、ずずっ、なる、からっ…っ…」
鼻水とか涙でぐちゃぐちゃになりながら、俺は1つずつ言葉を繋いでなんとか伝えようとした。
だけど泣いているせいか上手く口が動かなかった。
「はぁ……ゆっくり話せ」
そんな俺に唯はため息をついた。
そのため息すら俺には唯の怒りに聞こえて、体が震え始めるのが分かった。
「ひっぐ…み、なにっ、おいて…っかれ、の…いやっ、だったっ…ご、ごめ…っなさいっ」
これ以上唯を怒らせないように一生懸命、泣きながらも伝えると唯は俺のことを抱きしめてきた。
その温かさに驚いて俺は唯をじっと見つめた。
「……悪かったよ…俺が玲緒のこと分かってなかった」
その言葉にも驚いたが、俺は首を横に振った。
「ひっぐ、…おれ、いえにいるっ、いえ、いるから…っ…おこ、ない…でっ」
「…もう怒ってないから…ごめん玲緒」
唯のその言葉を聞いても俺の涙は止まらなかった。
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