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第119話 唯side
俺は自分のことばかりで玲緒のことを考えていなかった。
仕事から帰って家に着くと玲緒がいなかった。
首輪をして、玄関には鍵もかけられていたのに部屋には誰もいなかったのだ。
リビングをよく見てみると、ベランダのドアが開いていてそこから外へ出たのだと理解した。
玲緒の携帯についているGPSを確認すると学校にいることが分かり安心もしたが、怒りも湧いてきた。
八坂に頼んで迎えに行ってもらうと予想以上に時間はかかったが、玲緒が帰ってきた。
最初は泣きじゃくり謝ってばかりだったけど、なんとか理由を聞けば自分が馬鹿らしくなり玲緒への怒りは消えてしまった。
玲緒の言う通り来月から玲緒たち2年生は3年生に進学し、同時に受験生にもなる。
玲緒の話し方を聞いている限り、玲緒はきっと大学に進学希望なのだろうと推測できた。
いくら自由登校と行っても学校を休むのは周りから置いていかれ、差がついてしまうと焦っての結果なのだろうと思うと唯は玲緒に悪い事をしたと胸が痛くなった。
隣で疲れて眠ってしまった玲緒の頬を優しく撫でた。
「ごめんな…」
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