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第126話

「まだ頭痛いか?」 熱を出した日から数日が経った。 なかなかに酷い風邪だったようで風邪の症状はすぐには引かなかった。 「ううん、もう大丈夫…ありがとう唯」 「それなら良かった…あのさ、話があるんだけど」 「ん?なに?」 俺はベッドの上で座り直して唯の言葉を待った 「監禁、してて悪かった」 「え、と……うん?」 思わぬ謝罪に俺は驚き、身を固くした。 「もう解放…って言い方おかしいかもしれないけど、玲緒のこと自由にするから」 「な、なんでっ、…えっ、…うぅっ、」 唯の口から放たれた言葉が頭の中で何度も繰り返された。 涙が溢れてきて自分の意思では止められない。 「ご、ごめっ、なさいっ…おれ、いいこにっ、してるから…っ、」 「玲緒は十分良い子だよ」 そういって唯はえぐえぐと泣きじゃくる俺の頭を優しく撫でてくれた。 「じゃ、なんでっ、!」 「俺がダメだから……泣くな玲緒」 俺の頬に伝わる涙を唯は優しく拭き取ってくれる。 よく見ると唯も悲しそうな顔をしていて、さらによく分からなくなる。 お互い離れるのが嫌なんだから一緒にいる、それでいいじゃんか。 「だ、だって…意味っ、わかんないよ…!」 「本当その通りだよ。俺って自己中すぎるよな、辛い思いをたくさんさせて悪い。」 「ひっうぅっ…やだっ、ゆいぃ」 やだ、やだやだ。 首輪とか足枷とかも嫌だけど唯と離れるのはそれより何倍も何十倍も嫌なんだ。 唯と離れるのは嫌、もう嫌。 それなら監禁されて外に出られない方がマシ。 唯が俺を側に置いてくれるなら、ペットでも奴隷でもどんな立場でも良かった。 それくらいに唯を想う気持ちは再び熱を増して大きくなっていた。 そんな話の聞かない俺を静かにしたのはこんな唯の一言だった。 「だけど、今度は約束するよ」

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