「ゆい…！これ、ほしい…いい？」 玲緒と話し合ってから数時間が経ち、涙も止まってさっきより随分落ち着いたようだった。 そして玲緒が手に持っているのは俺が使わなくなった赤い石が入ったピアス。 「…いいけど、玲緒穴開けてないよな？」 「今日空けることにした、唯手伝って！」 突拍子もない発言に唯は驚いてしばらく動けずにいた。 「…唯と離れるの嫌だから少しは唯のもの身につけたいって思ったんだけど…ダメかな？」 そんな唯をみてうるうるとした上目遣いで見上げてくる玲緒。 「……分かった」 ＊ 「ひっ、…スースーする…」 消毒液で耳たぶを拭いて、ピアッサーを用意した。 「本当にいいんだな？」 「うん、」 「じゃあ絶対動くなよ」 「はぁ〜い」 深呼吸をして玲緒の耳に針を当て、一気に押した。 「いっ、！あぁっ、…ひっぅ」 泣いて痛がる玲緒をなんとか抑えながら開けた場所を消毒した。 「いたいぃっ！」 その消毒ですら玲緒は痛がって唇を噛み締めていた。 そんな様子をみて玲緒1人だったら絶対ピアスは開けられないな、と確信して思わず笑ってしまう。 「ほら、出来たぞ」 そういって置き鏡を玲緒に見せてやると泣きながら、ぱぁっと顔を笑顔にした。 「ひっぐ…えへへっ、かっこいい゛」 「似合ってるよ」 そうして、玲緒の右耳には赤いピアスがキラキラと光っていた。