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第130話 唯side

「玲緒ね、すごく辛そうだったよ」 2人になった部屋で最初に口を開いたのは結城だった。 「夜はよく泣いてたんだ。それも声を押し殺してね…なんて声をかけたらいいのか分からなくてさ…ただ可哀想だった。」 玲緒が泣いているところは容易に想像出来て唯の胸がまたチクリと痛んだ。 「玲緒を泣かせるような貴方に全て任せてしまっていいのかな…」 「…ご心配をおかけしてすみませんでした。だけど玲緒のこと、幸せにするのは俺です。もうあんな風に泣かせたりしません」 「俺には玲緒の他に本気の相手がいるから玲緒に全ては与えることは出来ない…けど次、玲緒がここに来るようなら今度はあんたのこと、許さないよ」 「…わかってるよ」 2人の間にピリピリとした空気が漂う中、玲緒の明るく元気な声が響いた 「荷物まとめ終わったよー!…って何してるの?」 そんな2人の雰囲気に気がついたのか玲緒は心配そうな顔でこちらをみていた。 「なんでもないよ、何かあったらすぐに俺のところに来ていいからね。」 結城は先程、唯に見せていた表情とは一変し柔らかい微笑みを浮かべていた。 「もう行くぞ」 「あっ、結城!お世話になりました!」 「いえいえ」 そこで唯は1つ言い忘れを思い出した。 玲緒には聞こえないようなるべく結城の耳元で囁いた。 「…あんたが甘やかしたせいで玲緒が野菜食べなくて困ってんだよ…変に甘やかすな」 「へぇ…甘やかしたつもりはなかったんだけどなぁ」 そういって結城は手元にあったメモとペンで何かをさらさらと書き始めた。 「はい、これ」 「あ?なんだこれ」 「玲緒が野菜食べなくて困った時は使ってよ」 渡された紙を見ると何かのレシピのようで作り方や食材がずらっと記されていた。

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