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第135話
「玲緒…兄ちゃん」
兄貴が帰ったあと、ぎこちない様子で俺の名前を呼んだのは葉月だった。
「今、まで、…ごめんなさい」
「…うん」
目の前に座る葉月の顔を改めてよく見ると、目元が少しだけ赤くなっていた。
泣いた、のか?
「っ、帰って、きてくれて…良かったっ」
そういう葉月の声は震えていて、少しだけ嗚咽も混じっているように聞こえた。
「俺も、1人にしてごめんね」
顔を覆うように丸くなる葉月の体ををそっと包み込むように抱きしめた。
「ほんと、ごめん」
「…うっ、ぐずっ」
きっと不安だったんだろうなぁ
家を出る前は唯のこともあり葉月を完全に無視していた。
それから結城の家に入り浸り、そのまま唯に連れていかれた。
最後に葉月と会話をしたのはいつだったのか、記憶を遡っても思い出せなかった。
俺がいなかった間、葉月は1人で俺が帰ってくるのを待っていたのだろうか。
こうやって何度も何度も涙を流していたのかもしれない。
そう思うと胸の奥がきゅうっと締め付けられるように痛くなるのがわかった。
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