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第136話

* 桜が満開に咲いて、花びらが綺麗に舞う。 高校に入学してから3度目の春。 今日から高校三年生になる。 葉月も無事、今日から高校生になることになった。 俺と同じ高校に入学することが決まって内定通知をもらった時、嬉しそうにはにかんでいたのを思い出す。 あれから俺と葉月の溝はだんだん無くなり、今は以前では有り得なかったほどの仲の良さになった。 「れーおっ!おはよ!」 「…あぁ、玲緒来てたんだな…はよ」 教室に入った途端、翔に飛びつかれてバランスを崩しながらもなんとか自分の席に座ると、怠そうに欠伸をする夏樹に声をかけられた。 「おはよ、2人とも」 3月の自由登校にもすべて登校し、着々と受験勉強…というか復習を始めていた。 この学校は2年生からクラス替えがないので、ほとんどが持ち上がりとなる。 そのおかげもあって、3人ともまた同じクラスだ。 「入学式めんどくさいなぁ…ね、2人もそう思うよね!」 「授業ないからいいじゃん」 「ふぁ〜」 そんな他愛もない会話をしながら3人で入学式が行われる体育館へ移動する。 相変わらず翔はよく喋って、夏樹は欠伸ばかりしてる。 そんないつも通りの二人が好きだったりするんだけど。 ✳✳✳ 式は意外にも早く終わり、早々に下校となった。 「玲緒〜どっか遊びにいこ〜!」 教室に戻り、帰る支度をしていると翔に寄りかかりられながら声をかけられた。 そして予定を思い出す。 「…あ、今日は塾だから無理だ…ごめん」 「そっか〜全然大丈夫だよ!玲緒がんばってるもんね〜」 「まぁ、よくやってるよな。勉強なんてまだ早いんじゃねぇの?」 「がんばるって決めたんだ、ありがとね2人とも」 2人にそういって教室をあとにした。 少しずつ、俺なりにがんばってる。 唯と会うまでにもっと強くなりたい。 そんな想いが今の俺の頑張ろうって思えるエネルギー源になっていた。 そのためにまずは自分のするべきことを見直して、勉強に専念することを決めたんだ。

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