139 / 337
第139話
***
あれから月日は流れた。
今は8月の下旬を迎えていて、夏休みも明けようとしている。
俺はこの夏人生の中で1番勉強したと言えるくらい勉強に明け暮れていた。
志望校も先生や兄貴と何度も何度も話し合って、なんとか決まりそれに向かって一生懸命勉強していたんだ。
今日は塾に行った帰り、電車に揺られていた。
右手に光る指輪をみてニヤける。
もう何度これを繰り返したか分からないけどこの行為に飽きることはなかった。
耳のピアスもほとんど痛みはなくなり、幸福感に襲われるだけだった。
そんな感じでニヤニヤとしていると携帯がピコンと鳴り、着信を知らせてくれた。
電車や車で携帯をみるとすぐに酔ってしまうからあんまり見たくないなぁ、と思いつつもメールボックスを開くと目を疑った。
目をごしごしと擦って、何度も瞬きをして確認する。
だけどそこに書いてある文字は変わらない。
『 To. 玲緒
From. 唯 』
急いでメールの内容を確認した。
書いてあったのはたったの4文字。
『会いたい』
たったの4文字だったけど俺には魔法の言葉にすら思えた。
すぐに返事を返して、今から会いたいと伝えた。
そしたら唯からもすぐ返事がきて近くの公園で待ち合わせることになった。
俺の胸はどきどきと幸せで溢れていた。
今から、やっと唯に会えるんだと思うと自然と涙が零れてきた。
電車の中で泣くなんてみっともないと思い直し、再び目をごしごしと擦って涙を止めた。
今から、会えるんだ。
電車が駅に着くと、玲緒はホームを走った。
ともだちにシェアしよう!