140 / 337

第140話

待ち合わせをした公園の最寄り駅で降りて全速力で走ってその公園まで向かった。 近づくにつれて心臓のバクバクという音はどんどん大きくなっていって少し苦しい。 やがて、公園のベンチが見えてきておおきな木の下の日陰に人がたっているのが見えた。 「っ、…ゆいっ!」 そう名前を呼ぶと驚いたように緊張でなのか表情を硬くした唯がいた。 俺はそのまま唯にぎゅっと抱きついた。 そしたら唯も強く抱き締め返してくれてとてつもない幸福感に襲われる。 「ゆいっ、ゆいっ!」 「遅くなって悪い…ずいぶん待たせたな」 「うん…っ…すきっ、会いたかったっ」 久しぶりに唯に触れることができる。 口からは我慢していて言わなかった言葉が自然と溢れて止まらない。 好き。 「俺、ずっと待ってたんだ…会えない分日に日に好きって気持ちが大きくなってきて、苦しかったけど、指輪が助けてくれたんだ」 そう言ってにこっと笑ってみせると唯は悪かったと言って抱きしめてくれた。 「…ん、俺が聞きたいのはその言葉じゃないよ」 「愛してる、玲緒」 「俺も、愛してる」 * それから唯の車に乗せてもらって唯の家に行くことになった。 「今日は…泊まりたい………いやだって言っても俺もいやだからね!」 今日は久しぶりに会えたんだから唯と一緒に居たかった。 そしたら唯はクスッと笑ったあとにニヤッと意地悪な笑みを浮かべた。 「当たり前、…ベッドから離せねぇかもな」

ともだちにシェアしよう!