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第153話

「…!れーおくん!おーきーて!」 「んん〜」 まだ寝てたいのに…なんで起こすの? 「玲緒くん、ついたよ〜」 何度も俺の名前を呼ぶ声に仕方なく重い瞳をゆっくりと開けた。 するとこちらをのぞき込む八坂さんが見えた。 「あ、起きた〜!歩けそう?唯さんとこ行くけど…」 多分歩けたけど歩くのが面倒だった。 だけど唯のところには行きたい。 俺は首を横に振った。 そしたら八坂さんはしょうがないなぁ〜ってふふっと笑いながら俺を抱っこした。 ちょっと恥ずかしいけど、起きたばっかりで頭はぼんやりしてたからそんなことは気にもしなかった。 「玲緒くん起きてる〜?」 「…うん」 その質問に辛うじて返事をした。 正直に言えば今も眠い、眠すぎる。 「うーん眠そうだね〜あ、じゃあ寝ないようにしりとりしよっか〜」 それから八坂さんはりんごと言って定番のしりとりが始まった。 と言っても俺は瞳を閉じて八坂さんが言うものを他のものと繋げるように単語を言うだけだった。 「あ、」 しりとりをしてたはずなのに八坂さんは足を止めて続きを言わなくなった。 すごく嫌な視線と嫌な雰囲気を感じて、俺も瞳を開いた。 「……あ」 そして瞳を開いた俺の目の前にいたのはすっごく難しい顔をした唯とよく知らない綺麗な男の人だった。

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