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第156話
「シャワーでいい?」
「あ、うん」
「じゃあ先入りな」
それから唯に言われた通りシャワーを浴びて俺はすぐに浴室を出た。
お風呂とかベッドにいるとぼーっとしてる時間が多いからよく考え事しちゃうんだ…
でも今はあんまり悲しいこと考えたくなかったからパパっと洗ってすぐに出てきちゃった。
適当に唯の服を借りてリビングに行った。
唯の服はちょっと大きい。
だけど唯の匂いが好きだからよく借りるんだ。
「唯、……出たよ」
「あ?あぁ、分かった」
俺がそう言うと唯は携帯で何かをみていたようだった。
リビングの扉がパタンと閉まって、また一人になった。
ふと視線を部屋の隅に向けると今日行った水族館の可愛いらしい紙袋が目に入った。
ごそごそと中を探ってペンギンのぬいぐるみを開けた。
「ふっ、ぅっ」
それをぎゅうっと抱きしめてソファに寝転んだ。
ぬいぐるみはもふもふで柔らかかった。
にこにこと愛らしい笑顔を向けている。
それを見るとますます自分が嫌になった。
俺、あの人みたいにあんなに綺麗じゃないし男だから可愛くもない。
捨てられたり、するのかな
一度流れ出した涙はなかなか止まらなかった。
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