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第157話

「玲緒………泣いてんのか?」 ソファで横になっていると後ろから突然唯の声がして慌てて顔を隠した。 手元のぬいぐるみをぎゅうっと力いっぱい引き寄せる。 泣いててめんどくさいとか思われたくない…。 そう思ってごしごしと目元の涙を拭いた。 「…………泣いてないよ」 「はぁ、泣いてんじゃん…」 また、ため息ついた…もうやだ… そう思うと再び涙が溢れて止まらなかった。 精一杯声を押し殺してたけど、唯にはもうバレちゃってるんだろうな…。 「なぁ玲緒、ほんとにどうしたんだよ」 「ど、ぅっ、どうも、…してない、ってば!」 背中越しで確かじゃないけど唯が呆れてるのが伝わってくる。 今日の行動を全て…正しくいえば八坂さんと帰ってきたところからやり直したいくらいだった。 「玲緒の気持ち、ちゃんと言ってくれなきゃ分からないよ」 そう言って唯は俺の頭の上に手を置いて、前にかかった髪の毛を払ってくれた。 しばらくしてから俺はゆっくりと起き上がってソファの下のもふもふのカーペットの上に座っている唯の膝に乗った。 「あ、あのね……ひぐっ、」 「あぁ…ゆっくりでいいからな」

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