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第165話 唯side

1人の男の子が地面に何かを書いている。 何を書いてるかは分からなくて、近くまで歩み寄った。 そこに書かれているのは高校でも習わないような難しい数式。 なんでこんな子供がそれを書いているのだろうか、と不思議に思った。 だけどその子供の顔をみて納得した。 この子は______拓斗だ。 それから目の前が真っ暗になった。 足を着いていた地面がガタガタと音を立てて崩れていく。 そんな中、地面に書かれた最後に見えたものは 『たすけて』 * 「唯、落ち着いた?」 「…あぁ、ありがとう」 久しぶりに嫌な夢をみた。 ……そういえばもうそんな時期になるのか。 「ん、別に良いよ…すごい汗かいてるし服、気持ち悪いでしょ、シャワー浴びてくる?」 玲緒はそう言って俺の着替えを出してくれた。 そして俺の服をベッドの端に置いて、冷蔵庫から持ってきたらしい冷えたミネラルウォーターを渡してくれた。 まだ腰が痛くて本調子じゃないはずなのに、色々気を遣わせてしまってなんだか申し訳なくなる。 「そうしようかな………なぁ、わがまま言ってもいい?」 ベッドに腰掛けた玲緒を後ろから抱きしめた。 そんな俺に玲緒嫌な顔一つしないで背中に手を回してくた。 そのまま玲緒の肩に顔を埋めると、今度は優しく頭を撫でてくれた。 「珍しいね…いいよ、何でも聞いてあげる」 「…玲緒も、一緒がいい」 「うん、いいよ。…あ、じゃあ今日は家でゆっくりしよ?シャワーじゃなくてお風呂にしてもいい?」 そんな問いかけに力なく小さく頷くと、準備してくるねと玲緒は浴室に行ってしまった。 年下の玲緒に甘えすぎ、なのかもしれない。 でもこれはこれで良いななんて考えながらぼーっとしていた。

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