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第45話 夢のイチャイチャ〈泉水目線〉

 一季の尻は小ぶりで、きゅっと引き締まった感触が手のひら越しに伝わってくる。一季は泉水にキスを浴びせながら、「さぁ揉んでください」と言わんばかりに、泉水の掌を自らの尻に押し付けるのだ。  手のひらに、易々と収まってしまうほどの小さな尻だ。促されるままに、ぐに、ぐにと手を動かしてみると、細身のスラックス越しに、確かな弾力が伝わってくる。それはあまりに甘美な弾力で、気づけば泉水はもう片方の手をも持ち上げて、一季の尻を揉みしだいていた。 「……ん……ぁん」  一季のキスに、淫らなため息が加わる。ゆったりと泉水の舌を味わっていた一季の唇がかすかに震え、キスがもっと深くなった。もっちりと吸いついてくる柔らかな感触にゾクゾクと劣情を煽られ、泉水もまた夢中になって甘い唇を求めていた。  淫靡な水音がさらに高まり、一季が舌を蠢かすたびに、いやらしいリップ音が部屋に響く。さっきよりも一季の唾液を甘く感じて、泉水の脳みそも痺れてくる。  ――あ、あぁ……も、あかん……キスだけやのに、も、イキそ……っ……。けど、そんなん恥ずかしすぎるっ……ど、どないしたらええんや……!   ――け、けど……気持ちいい……ッ……一季くんのキス、やばすぎやねんけどっ……ぁ、も、どないしよ……お尻小さい……きもちいいっ……。あ、もうっ……ここ、挿れたい……も、あかん、あ、あっ……♡  一季から与えられる快感で、泉水の脳みそも股間もすごいことになっている。  無意識のうちに手が動き、一季の尻の割れ目のあたりをいやらしく探るような動きになっていることに、泉水はまだ気づいていない。  すると一季が、ゆっくりと唇を離した。真っ赤に熟れたその唇には、透明の唾液が細く糸を引いている。とろんと蕩けた目をした一季の色香に、泉水はまためまいを覚えた。 「は……はぁっ……泉水、さん……」 「ん、ん……?」 「泉水さんの指……すごく、エッチですね。……あん」 「えっ……あああああっ……!! ごめんなさい!!」  片手では一季の尻を鷲掴みにして揉みながら、利き手の中指では谷間をいやらしく撫で回す……両手が勝手に、スケベオヤジのごときいやらしい動きをしているではないか。  泉水は真っ赤になりながら真っ青になるという器用なことをしでかしながら、慌てて手を離そうとした。だが、それは一季によって遮られてしまう。 「え、いやあの、あのっ」 「……エッチで、きもちいいです。……もっと、触ってください」 「うっ……うそぉ……!? い、いいんですか、こ、こんな、エロオヤジみたいなっ……!!!」 「エロオヤジって……ふふっ……」  一季は気が抜けたようにふっと笑い、泉水の唇に軽いキスをくれた。 「エロくて……最高です。僕、もっとエッチな気分になってきました」 「エッ…………チ、な…………」  うっとり嬉しそうな顔でそんなことを言われ、泉水は歓びのあまり絶頂しそうになってしまった。  すると一季は、じゃれつくような可愛いキスを泉水に浴びせ、さらなる追い討ちを仕掛けてくるではないか。慈愛に満ちた笑みを浮かべて泉水の両頬を包み込み、ちゅ、ちゅっとリップ音をたて、柔らかな唇を何度も何度も……。  ――う、うううう、かわいいい……。ていうかこれ、あれちゃうん……? イチャイチャってやつちゃうん……!!?? 俺、一季くんとめっちゃイチャイチャできてんのと違うん!? あ、ああ……なんやもう、幸せすぎて涙出そうやねんけど……!!  これまでは、一季も泉水も、触れ合うことにぎこちなさや遠慮のようなものを抱えていた。  けれど、今の一季の表情や仕草には、まるで壁を感じない。泉水に心を許し、身体を許し、恋人としての距離を縮めることに積極的になってくれているような気がするのだ。それが何より嬉しくて、極度の奥手をこじらせている泉水でさえ、いつもより積極的になれそうな気分だった。 「い、一季くん……」 「はい……?」 「あ、あの…………べ、べ、べべっ……」 「? べ?」 「ベッ……べ、ッ…………」  ――あああああかーーーーーん!!! ベッドに誘いたいだけやのに、『ベッド行かへん?』の一言がどうしても言われへん!!!! クソォ……!! なんで言われへんねん俺ッ……!! サラッと一言『ベッド、行かへん?(キリッ)』て言えばいいだけやのに、どうしてその七文字が口から出てこーへんねん!!! どんだけヘタレやねん俺ぇぇぇぇ!! もう死ね!! いっぺん死んでこい俺!!!  今更ながら、己のヘタレ具合に死にたさを感じてしまうが、どうしてもそれ以上の台詞が出てこない。  すると、泉水が真っ赤になって震えているのを見て、一季は「あ」と、察したような顔をした。そして照れ臭そうな声を立てて笑っている。 「ふふっ。おっしゃりたいのは、ベッドっていう単語ですか?」 「そっ……そうっす…………。ごめん。ヘタレすぎて引くやんな……」 「ううん、引きませんよ。これから先、泉水さんがどんな風に僕をベッドに誘ってくれるのか、ものすごく楽しみになりました」 「えぇ……? そ、そんな」  一季はくすくすと楽しげに笑いながら、すっと泉水の上からどいた。  そして自らベッドの端の方へ寝そべって、泉水のほうへ手を差し伸べる。興奮した。 「うっ……」 「どうぞ……ここに」 「は、はい……」  おずおずとベッドに上がると、一季が猫のように泉水の膝に甘えて来た。泉水の太ももに頬を寄せ、アーモンド型の澄んだ瞳で、上目遣いをしてくるのである。  その殺人的な可愛らしさに鼻血を噴きそうになったけれど、なんとかこらえた。すると一季は、ぐっと上半身を伸ばして泉水に顔を寄せ、ちゅっと軽くキスをする。そしてそのまま体重をかけて、泉水をベッドに押し倒した。  ――せっ……積極的……っ!! スイッチ入った一季くん、ヤバすぎやねんけど……!! ま、まるで俺が抱かれてまいそうな勢いや………………って、ちゃうちゃうちゃう!!! 抱くのは俺や!!! そら、そら俺まだ童貞やけど……!? 俺は一季くんを気持ちよくして差し上げたいんや……!!!  と、心の中で息巻いてみるものの、上から一季にちゅっと軽いキスをされるだけで、「んっ♡」と変な声が漏れてしまう。しかも、『こうして下から見上げる一季も、実に美しいものだなぁ……』と、ついついうっとり目を奪われてしまう始末だ。 「泉水さんのそういうところも、可愛くて大好きです」 「えっ? いや……かわいいとか言わんといてくださいよ。これでも、ヘタレな自分を治したいと……」 「治さなくても、いいと思いますよ……?」  一季はそう囁きながら、再び泉水にキスを降らせた。歯列を割って忍び込む一季のあたたかな舌が、泉水の口内をゆったり、ねっとりといやらしく愛撫する。  濡れた唇の柔らかさ、とろりと流れ込む一季の味を感じると、さっきから完全勃起状態の泉水のペニスが、さらなる硬度をもって暴れ始める。  すると、ジーパンの股間を押し上げる泉水の怒張に気づいたのか、一季はセクシーに腰をしならせ、ぐ、ぐっ……と尻を揺らめかせ始めた。ジーパン越しであるにもかかわらず、一季の尻が前後に揺れるたび、甘く痺れるような快感が泉水を襲った。そのあまりの気持ち良さに、泉水はとうとう「あっ……あぅ」と喘ぎ声をあげてしまう。 「はぁっ……いずみさんの、すごくかたくなってる……ふぅ……スゴイ……」 「いつきく……っ!! そ、そんな、エロい、も、あかんてっ……! ぁ、うっ……」 「はぁ……僕のキスで、こんなになって……。嬉しいです、僕……」  一季の手が、するりと股間のほうへ伸びてくる。形を辿るように指でなぞられ、それだけで達してしまいそうになってしまう。泉水は思わず、「あ、あああかんっ」と切実な悲鳴をあげてしまった。  だが一季は、はぁ、はぁ……としどけない吐息を漏らしながら、陶然と泉水の盛り上がった股間を愛撫する手を休めない。触れるたびに反応する泉水の表情を愛おしげに見下ろしながら、一季はとうとう、こんなことを言い始めた。 「……いずみさん……あの……」 「はっ……はいっ……!」 「フェラ、しちゃだめですか?」 「………………………………え?」  ――フェッ………………ふぇっ!? ふぇ、っ……ら(超小声)って、え!!?? う、うそ、うそやろ……!!? あれってAVの世界だけのもんとちゃうかったん!? い、い、いつきくんが、フェッ…………!!??  突然のアダルトな単語に、泉水は盛大にパニクってしまった。何をどう返事していいのかも分からずに、ただただ呆然として、頬を赤らめる一季の顔を見つめることしかできなかった。 「泉水さん……したいです、僕」 「なっ、なんで!?! そ、そんなんあきませんよ!! こ、こんな汚らわしいモンをっ……!!!」 「……なんでって言われると、自分でもよく分からないんですけど……。泉水さんのこと、もっともっと、気持ちよくしたいんです。汚らわしくなんてありませんよ?」 「い、いやいやいやいや!! く、口でそんなん、あかん、あかんよっ!! だって俺、シャワーも何も……」 「そんなの、気にしなくていいですから。……ねぇ、だめですか?」 「………………ウッ」  一季はするすると身体を下げて、泉水の股間のあたりに顔を近づけた。泉水は思わず身を起こし、一季の行動を制止しようとした……しようとした、けれど。  泉水の股間を愛おしげに撫でながら、物欲しげにこちらを見上げる一季のエロティックな表情を目の当たりにしてしまうと……。  ――え、え、え、エロッ…………!!! な、なんちゅうエロい顔してはんねん、一季くんんんんん!!! ていうかコレ、汚いやんな!! 汚らわしいやんな!!?? なのに何で、何で一季くんは、こんなに俺のコレ、舐めたいとか言わはるん……!!?? 「……泉水さん、おねがいです、させて?」 「そっ……そんな、けど」 「ちょっとだけでも、ダメですか?」 「ううっ……」  本音を言えば、されたい。ものすごくされてみたい。だが、今すでに大暴発寸前のフルボッキペニスだ。ちょっとぺろっとされただけで派手に射精してしまうであろうことは、火を見るよりも明らかである。いくらなんでも、それは恥ずかしすぎる。あまりにも早すぎて恥ずかしすぎるではないか。  ――で、でも……! う、うう、けど……されてみたい……してほしすぎる……。だがしかし!! い、いつきくんの、この、清らかな唇に、俺の、お、荒ぶった俺のコレを口に入れてもらうなんて、そんなん、許されるわけが……!!!  泉水が返事を躊躇っていると、一季がしゅんと悲しげな顔になってしまった。泉水は焦った。 「泉水さん……? フェラ、嫌いですか?」 「いっ!? いやいやいや!! ぜ、ぜんぜん、嫌いじゃないです!! ていうかされたことないけど!! 全然嫌じゃない!! むしろ……っ」 「……むしろ?」 「…………むしろ…………すごくされてみたいです」  蚊の泣くような声で正直なところを白状すると、一季の表情がぱぁぁと嬉しそうに晴れ渡る。  その顔を見ただけで、泉水はまた軽くイキそうになった。

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