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〈4〉……泉水目線

  「うわぁ……広いんですね」  部屋に入るなり、一季が感嘆の声を上げている。  浴衣姿でこちらを見上げ、にこにこ微笑んでいる一季を見つめているだけで、泉水の股間はすごいことになってきた。  ――落ち着け……落ち着け俺…………。そら、降って湧いたようなチャンスやけども、いきなり襲いかかってまうとかムードなさすぎやろ……。せっかく、坪田先生の家庭の危機のおかげでしっぽり夜を過ごせんねから、まずは落ち着け…………すーーーーーはーーーーー……。 「僕らの部屋より断然いいですよ。和洋室でベッドだし、しかも露天風呂付きじゃないですか! すごいなぁ〜」 「あ、あはははは!! そうでしょ!? こんなええ部屋に一人で止まるなんて味気なさすぎやし勿体無いから、一季くんが来てくれたらええな〜〜と思って、お誘いしたんですわ」 「ありがとうございます。こんないい部屋泊まったことないんで、テンション上がりますね」 と、振り向きざまに可憐なる笑顔を見せつけられ、そのあまりの美しさに、泉水は思わず立ち眩みを覚えてしまった。  ――ふあぁぁぁ〜〜〜〜かわええなぁもう…………!! セクシーな浴衣姿で、こんっな可愛い顔でそんなっ……!! も、あかん、エロいことしたい……したいぃッ……うあああああああ!!!  海で欲求を抑え込んでいたため、今の泉水に余裕があるわけもない。  ベランダに設置された檜風呂を物珍しげに眺めている一季の身体を、泉水は後ろからぎゅっと抱きしめた。普段の泉水にはあるまじき、積極的(もとい暴走気味)な行動である。案の定、一季もすこぶる驚いているようだ。 「へっ……!? い、泉水さん……?」 「ご、ごめんなさい。……なんやもう、いろいろ耐えられへんっていうか……」 「耐え……っ……ン」 「海におったときから、こうしたかったんです。ずっと我慢してて……」 「そ、そうなんですね。ふふ……僕もですよ」  くすぐったそうな声でそう言う一季の背中を、より一層強く抱きしめ、後ろから軽く耳を食む。すると一季はびくびくっと身体を震わせ、ぎゅっと泉水の腕を握りしめてきた。 「ぁ……ん、いずみさん……」 「ほんまは、こんなエロい浴衣姿で外をうろついて欲しくなかってんけど……職員旅行やし、わがままは言えへんなと思って」 「んっ……そ、そんな。僕の浴衣姿なんて、貧相なもんですから……」 「いやいやいや!! 貧相なんてそんな!! 全然ちゃいますめっっっっちゃ麗しいですよ!! 襟元から覗く首筋とか……ほら、こんなにきれいで、色っぽくて……」 「あ……っ……♡」  泉水が首筋に指を這わせると、一季はびくんと仰け反って、泉水のほうへ倒れかかってきた。それをしっかり受け止めながら、今度は艶やかな肌に浮かび上がる鎖骨をなぞっていく。 「めっちゃきれいで、色っぽいです。……こんなん、あきませんよ、ほんま……。あ、ほら、上から見たら、一季くんの敏感な乳首が見えてしもてますもん」 「ぁんっ……いずみ、さん……!」  浴衣の合わせ目からそっと手を侵入させ、指先で淡く、一季の乳首を撫でてみた。ちょっと触れただけだというのに、一季のそれはつんと硬く芯をもつ。そこをぴん、と弾かれるたび、一季はびく、ぴくっと腰を震わせ、涙目になって泉水を見上げた。  ――う、うううっ……なんちゅうエロい顔や……!! かわいい、もう、めっちゃくちゃかわいい……!! あ〜〜〜〜〜もう、もう〜〜〜〜このままいやらしいことし倒したい……っ……!!!?  すでに硬く盛り上がった股間が、一季の腰の上あたりでさらに硬度を増していく。すると一季は、「ハァ……」と熱っぽい吐息を漏らした。 「あ……もう、かたい……」 「あっ、す、すみません……..俺ばっかこんなに盛って……お恥ずかしい限りで……」 「ううん、泉水さんだけじゃないですよ。……僕だって」  一季は泉水の手を取って、ゆっくりと下へ導いた。そして、遠慮がちに手のひらへ押し付けられる一季の高ぶりを感じた瞬間、泉水は「ぁっ……」と歓喜の声を漏らした。 「……一季くんも、興奮してくれてはるんですか……?」 「だ、だって……泉水さんの浴衣姿だって、ものすごく、セクシーですよ……?」 「そ、そうですか!?」 「そうですよ。その……浴衣で、ちょっとくらい、えっちなことができたらいいなぁって……密かに思ってたんです、僕」 「えっ……………………ち、な………………」  頬をりんごのように赤らめて、気恥ずかしげにそんなことを言う一季の愛らしさに、泉水の性欲は爆発だ。  泉水はひょいと一季を抱き上げ、居間と寝室を仕切る格子戸を足でスパーーン! と開き、ふかふかのベッドに一季をどさりと横たえる。そして泉水もベッドに上がり、一季の上に四つ這いになった。  浴衣を軽くはだけ、潤んだ瞳で泉水を見上げる一季の表情には、すでにあふれんばかりのエロスが漂っている。割れた浴衣の裾からは、一季の片足が太ももからのぞいていて、あまりにも艶かしい眺めだ。俄然泉水の鼻息は荒くなり、ハァーーーーハァーーーーとアブナイ呼吸音が寝室に響きはじめた。 「……ぁっ……ぁ!」  むしゃぶりつくとはまさにこのこと、といわんばかりに、泉水は一季の太ももに舌を伸ばした。膝を掴んで脚を持ち上げると、舌の腹で内腿をねっとりと舐め上げる。  陸上で鍛え上げた一季の脚は、見た目よりもずっと筋肉質だ。だが泉水の汗ばんだ手に吸い付く肌の柔らかさは心地よく、素晴らしく淫らである。 「いずみさん……ァんっ……ふぁっ……」 「めっちゃきれいな脚ですよね。……海におるときから、こんなふうに触りたかったんです」 「ンっ……そんな、エッチな舐めかた……ぁん」 「大浴場とか、絶対行ったらあかんよ。こんなエロい身体、ぜっったいに他の男に見せたらあかん」 「ぁ、ぁん!」  じゅうっと内腿をきつく吸えば、一季はビクン! と腰を捩った。と同時に浴衣がさらに乱れて、くっきりと盛り上がった濃紺のボクサーパンツが露わになる。  そこにも触れたいと思ったが、ここはちょっと我慢である。泉水は、一季の膝裏を舐め、今度はふくらはぎの方へと舌を伸ばした。そして、予てから目を奪われていた麗しのくるぶしにキスをする泉水を、一季は陶然と見上げている。  そうして一季と目を合わせた状態のまま、泉水は一季のかかとから土踏まずまでを、ねっとりと舌で辿った。 「あ! だ、だめですよ……そんな、足なんて、汚いからっ……!」  と、一季は慌てて脚を引っ込めようとするが、泉水は一季の足首を離さない。そしてとうとう親指を口に含めば、一季は「ひゃぁっ……ァん!」とくすぐったそうに甘い声をあげた。 「や、だめっ……! そんなとこ、だめですよっ……!」 「何でですか……? そのわりには、ここ……さっきより勃ってるような気ぃするんですけど」  一季の足の指、指と指の股まで丁寧に舐めしゃぶりながら、一季の下着を指先で引き下げる。すると、とっぷりと先走りに濡れたペニスが露わになり、一季の顔がこれまで以上に赤く染まった。 「ァっ……! や、やぁっ……いずみさん、こんなの、どこでおぼえてきたんですかっ……! ぁんっ……」  と、腰を捩って身悶えつつも、手のひらの中で扱かれる一季のペニスはみるみる硬さを増していく。そんな反応をもらってしまえば、泉水の興奮もさらに増してゆくというものだ。唾液がさらに溢れ出し、わざとらしくもいやらしい水音が、一季の足を舐める度に響き渡った。  ――はぁ、はぁ、はぁ……もう、あかん、何やこの興奮…………ッ……。一季くん、めっちゃかわいい、俺に足舐められて、恥ずかしそうやのにめっちゃ気持ち良さそうで……あかん、絵面もやばい。あかんでこれ……鼻血噴いてまいそうや……!!!  いつしか浴衣の下部分はぱっくりと開いてしまい、一季のみずみずしい下半身が無防備にさらされている。かろうじて結わえられたままの帯が妙に罪深いような気持ちにさせられるが、そこにある一季の腰は自ら上下に動いていて、あまりに淫らだった。  泉水の手淫を積極的に貪りながら、口では「ぁ、あん、っ……ぁ、あっ……いずみさん……んっ……だめ、……舐めちゃだめですっ……」なんてことをうわごとのように言い続けているのだ。しかも。 「ま、まって……まってください、……ァっ……あうっ……きちゃう、あ、だめ、いっちゃいそ……だからっ……だめ、だ、め……んんっ……!!」  と、喘ぎ喘ぎ絶頂が近いことを訴えながら、一季は泉水の手の中で果ててしまった。一季がイってしまったことで、ようやく泉水は、執拗に舐め回していた一季の足から口を離す。  そしてようやく、泉水の頭にも冷静さが戻ってきた。  目の前には、あられもなく浴衣をはだけた一季が横たわっている。泉水に唾液に濡れた足首を掴まれ、ずり下げられた下着から露出させられたペニスからは、迸った白濁の残滓が滴っている。  ――あ、あれ? ちょっと足にちゅっとするだけのつもりやったのに…………?? お、おれ、俺は、なんちゅうキモイことを……っっ!!!! 「あっ……す、すみません……!! キモかったですか!? しつこかったですよね……!? すみません、なんやよう分からへんけど、やめられへんようになってしもて……!!」 「ハァ、はあっ……もう、いずみさん……ハァっ……なんでこんな……」 「ああああ、ごめん! まじでごめんな!! 足ぺろぺろ舐め回されるんなんて、気持ち悪いやんな!? キモすぎるやんな!? いや別に俺そういう趣味とかちゃうねんけど、でも、」 「……ううん、えっちで……すごくよかったです……」 「え?」  涙目になりながら呼吸を乱す一季が、とろんととろけた笑顔を浮かべている。一季は力なく投げ出されたままの脚を閉じて自ら下着を抜くと、ゆるゆると四つ這いになった。  そして、泉水のほうへ少し腰を持ち上げて、するすると浴衣の裾をたくし上げてゆくではないか。  泉水が目を血走らせながら一季の行動を見守っていると、一季は妖艶な笑みを浮かべ、甘えた声でこう言った。 「……めちゃくちゃ、欲しくなっちゃいました。……ここに」 「……………………へ?」  泉水はわなわなと震えながら、差し出された麗しの双丘に目を落とした。  きゅっと引き締まった白い尻は、ほんのりと桃色に染まっている。そこに指を這わせながら、一季は潤んだ瞳で泉水を誘う。   「しませんか? 浴衣で、セックス」

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