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〈5〉

  「ぁ、あアっ、ああ、ああん、あ、あっ」  浴衣の裾を捲り上げられ、下着を抜かれて尻を突き出した格好で、一季はがくがくと泉水に揺さぶられていた。 「ハァっ……一季くん……ハァ、エロい……腰、こんなに振って……めっちゃエロい……」 「だって、だって……っ……いずみさんの、おちんちん、きもちよくてっ……ァっ……あん、あ」  泉水とセックスを重ねるようになってから、一季のアナルの感度は驚くほどに増している。かつてマグロであったことが嘘のように、泉水とのセックスは何をしていても気持ちが良くて、満たされて、最高の気分を与えてくれるのだ。 「あぁ……もう……そんな、はしたないことばっか言うて、ほっまに、ほんっまにあかんで……もう、はぁっ、止まらへん……!」 「あ、あ、あ! ぁあん、や、またイク、また、アっ……ン、んんんん……!!」  ――もう、とまんない、とまんないよぉ……っ……! いずみさんのえっち、すごい……すごいよぉ……っ……!  開始早々、挿入だけで中イキしてしまってからというもの、一季は絶頂の世界を彷徨い続けている。泉水とセックスをしているという興奮と悦びのあまり、全身が性感帯になってしまったかのように熱いのだ。 「……しめつけ、やばい……っ……ハァっ……はぁっ……」 「あ、まっ、まだ、うごかないでくださ……っ……はぁ、っ……」 「う、動かへんけど……こんな気持ちええとこにい挿れてたら、も……我慢が……」 「ぁあっ……ぁ!」  一季の腰を掴んでじっとしていた泉水であるが、きゅんきゅんと雄芯を締め付ける一季の内壁にたまりかねたように、ずず……とゆっくり腰を引いた。緩やかな動きだが、激しく絶頂して間もない一季には刺激が強く、「ぁあ……ん……!」と背中が反って嬌声が漏れてしまう。  するとあっけないことに、ずるん、と泉水のペニスが出て行ってしまった。あまりの切なさに後孔がひくついてしまう。力が抜けてベッドに倒れこんでしまった一季は、ゆるゆると顔を上げて泉水を振り返った。  すると泉水が身を乗り出してきて、一季はそのまま仰向けにした。スプリングのきいた高級ベッドに沈んだ一季を、泉水が熱のこもった視線で見つめている。 「……一季くん、き、き……キス……したいです」 「……へ……?」 「バックもエロくて最高なんやけど……やっぱ、顔見ながら、したいっていうか」 「ぁ……泉水さん……」  男の顔をした泉水に甘い言葉を囁かれ、一季の胸はきゅんきゅんと盛大にときめいた。一季はするりと泉水の首に腕を回して、こくりと深く頷いた。 「……うん、したい。キスしながら、エッチしたい……」 「………………ウウっ…………かわいい…………」  バックで揺さぶられているうちにすっかり着崩れてしまった浴衣から、一季の肩が覗いている。泉水はちゅっとそこにキスをして、照れ臭そうな笑顔を見せた。  ――あぁ……もう、なんて素敵なんだ泉水さん……。もう、好き、大好きだ……はぁ、もう、ずっとずっと繋がってたいよ……。 「ん……」  唐突に盛り上がった感情に身を任せ、一季は自ら泉水にディープキスを仕掛けていく。熱く濡れた泉水の口内を味わい尽くしながら身を起こし、一季は泉水の上に跨った。  しっかりと抱きしめ合いながら舌を絡め合う幸福感に酔いしれながら、一季は泉水の剛直の上でゆらゆらと腰を振リ始めた。 「あ、あっ、いつきくん……。待っ、ゴム替えな……」 「……だめ」 「え?」 『あわよくば』という想いで、泉水がセックスに使うあれこれを旅先に持参していたため、二人はこうして浴衣セックスに没頭できている。だが、非日常的なシチュエーションの中でのあまあまセックスにより、すっかり興奮しきっている一季は、普段よりもずっと大胆なことをしたくなっていた。 「……ナマで、したいんです……僕」 「な…………………………な、なま………………って…………?」 「ゴムなしで、そのまま欲しくて……。だめですか?」 「……でっ……でで、ででも、そ、そそそそそんなことしたらっ、いつきくんのおなかがえらいことに……!!!?」 「ちょっとくらい、大丈夫です。その……僕の中に、いっぱい出して欲しくて……」 「………………ふごっ…………」 「あっ! た、大変だ!」  一季の欲深い台詞はさすがに刺激が強すぎたのか、泉水がとうとう鼻血を垂らしてしまった。  一季は慌てて、すぐそばに転がっていたティッシュ箱に手を伸ばし、泉水の鼻を押さえてやる。 「ご、ごめん……。そ、そんな…………いっぱいだしてって…………そんなん、そんなっ……」 「い、いえ、こちらこそごめんなさい! そ、そんなのダメですよね!! 衛生面でもナマでとかそんな、危険っていうか……!! すみません、変なこと言って……」  一季がすっかりしゅんとなっていると、泉水は真っ赤に染まったティッシュを押さえながら、ぶんぶんと首を振った。そして心底慌てたような口調で、早口にこう言う。 「えっ!? い、いや! したい、したいです俺……!!」 「…………え? い、いや、そんな、無理なさらくても……」 「無理なんてしてません! 俺かて……直接、一季くんの中……挿れてみたい……」 「…………え、い、いいんですか?」 「はい。……ゴムの隔たりなしに、一季くんのこと、抱いてみたい……です」 「……あ」  凛々しい顔を赤く染めながら、泉水はたどたどしくそう言った。その姿があまりにも愛おしく、一季は思わず泉水の頭を抱きしめていた。 「一季くん……」 「……泉水さん、すき……」 「えっ……?! あ、お、俺も……!! 俺も大好きです、ほんっまに、好きです」  一季は泉水にキスをしながら、ゆっくりと泉水の浴衣の袖を抜いた。逞しくも美しい肉体が露わになると、一季はほうとため息をつき、乱れた浴衣の裾を自ら割って脚を開き、ゆっくり、ゆっくりと泉水の怒張の上に腰を落としていく。 「ぁ…………っ……ん、んっ……」 「うぁ……っ……一季くん……ハァっ……」  座位で泉水の全てを飲み込むのは、慣れた一季の身体でも、なかなかの圧迫感を感じてしまう。だが、肌と肌を合わせてキスをしながら、睦言をささやき合ううち、結合部から快感が溢れ出すのだ。 「はぁ…………いずみ、さん……んっ……」 「ハァ……これ、やばい、めっちゃエロいです、一季くん……」  片袖の抜けた浴衣、乱れた裾からむき出しになっている下肢を見て、泉水は感極まったような声を出す。そそり立つ一季のそれからも、とろとろと透明な体液が溢れて止まらない。最奥まで一季を満たす泉水のペニスにさらなる熱が篭り始めているような感じがして、一季はたまらず腰を揺らした。 「ぁ、あっ……いいとこあたって、ぁん、んっ……」 「う、ぁっ……! 待っ……そんな、動かれると……っ……」 「いずみさん、いずみさんっ……ぁ、はぁっ……もぅ、スゴイよぉ……ぁ、あんっ、」  一季が腰を上下するたび、じゅぷ、ちゅぷ、と結合部からいやらしい音が溢れ出す。いつしか夢中になって泉水の屹立を味わううち、一季の目からはぽろぽろと涙がこぼれた。気持ちよくて、幸せで、心も身体も飽和状態で、喘ぎも涙も止まらない。 「一季くん、涙……」 「だってぇ、ぁ、ぁ、きもちいぃっ、いずみさん、すき、すき……すきっ……」  涙を拭おうと頬に触れる泉水の指を、一季ははむっと口に含んだ。  ねっとりといやらしい指フェラをしながら腰を振り、涙ながらに快楽を訴える一季の淫らな姿を見て、泉水のほうも何かがぷつんと切れてしまったらしい。  つながりあったままベッドに押し倒され、がばっと脚を開かされ、一季は涙に濡れたまつげを上下した。 「あ〜〜〜〜〜〜もう………………っ…………かわいい。どんだけかわいいねん一季くんっ……!!! ハァ、そんなんされたら俺、もう、大人しくしてられへんからぁ…………!!!」 「えっ、ぁあ、っつ……いずみさ、あっ……!! ぁ! あぁん、ンっ……はぁっ……!!」  急に雄々しく腰を使い始めた泉水の攻めに、一季は顎を仰のかせて身悶えた。ずん、ずん、ずん、と奥を激しく突き上げられるたび、くらくらと痺れるほどの快感が一季の目を眩ませた。濡れた肌と肌がぶつかる音に、ふたりの喘ぎが重なって、途方もなく淫らな音が部屋の中に満ち溢れている。 「ぁ、あ! またイくっ……イっちゃうよぉっ……!! ァ、ぁん!」 「俺もイきそ……です。ハァっ……あぁっ……あかん、めっちゃイイ……いつきくん、かわいい、かわいすぎるでほんまっ……!」 「だして、いっぱい……っ……ぼくのなかに、いずみさんのせいえき、いっぱいください……っ!」  激しいピストンに喘ぎつつも、一季は涙声になりながらそんなことを訴えた。  すると泉水はぎゅうっと目を閉じ、一季の膝裏を掴んでラストスパートとばかりに荒々しく腰を振った。 「もう…………、またそんなこと言うて……っ!! はぁっ……あかんで、もう、……っ!! ハァっ……はぁっ……」 「おくに、だして……いっぱいください…………!! ぁ、だめ、だめ、イく、イっちゃうっ……ぅン、んんんんっ…………!!」 「はぁっ、出る……一季くんの、ナカに……はぁっ、はぁっ、出る、イくっ……っう…………!!」  腹の奥で、泉水のペニスがびくびくと痙攣しているのを感じた。  たっぷりと吐き出される濃密な熱い白濁を感じたような気がして、一季は「ぁぁ……ん♡」と気の抜けた声を漏らす。 「ぁん…………泉水さんのいっぱい、はいってきた……」 「はぁっ、はぁっ……一季くん、ほんま、エロすぎるから……はぁっ……もう、あかんでそんな、そんな……」  ずる……と泉水が腰を引くと、一季の後孔からどろりと白濁が溢れ出す。くしゃくしゃに乱れた浴衣を濡らす体液を見て、一季は気恥ずかしげに脚を閉じた。 「……す、すみません、中出しのおねだりなんて。……僕……つい興奮して……」 「い、いやいやいやいや!! 一季くんのお腹は心配ですけど、めっちゃ……めっちゃ最高でした……」 「ほ、本当ですか? 引いてません?」 「引かへん、引かへんよ。……めっちゃ、かわいかった。もう……頭おかしくなるくらい、幸せです」 「あ……」  ベッドに倒れこむ一季の頭を、泉水が優しく撫でている。そして、ちゅっと頬にキスをされ、一季はまたぽろりと涙を流した。 「……嬉しい」 「へ?」 「泉水さんと、こんなに幸せなセックスができて……。本当に、嬉しい」 「一季くん……。そ、そんな、照れますわ……」 「ふふっ」  顔を真っ赤にして照れている泉水がことさらに可愛らしく、たまらない気持ちになる。  だが、まずは、体液でぬるぬるに濡れた身体や、溢れた泉水の精液で湿った浴衣をなんとかしなくては……と、一季はゆっくり起き上がった。 「あの、お風呂入りませんか? 露天風呂」 「おっ、いいですね。一季くんの身体洗わせてくださいね、無理させたんで……」 「洗ってくださるんですか……? ど、どうしよう、変な声が出ないように気をつけなきゃ……」 「へ、へ、変な声………………!? そ、そうやんな、中まできれいにせなかかんし……お、おれも興奮せぇへんように気をつけな………………すーーーーーーはーーーーーー……」 「あははっ、別に、興奮したっていいじゃないですか。夜は長いし、その……その時はまた……その……したらいいんですし」 「………………な、なにをですか…………?」  ごくり……と息を飲む泉水に身を寄せ、一季はにっこりと微笑んだ。  そしてそっと、泉水の耳元で歌うようにこう囁く。 「えっちなこと、いっぱいしましょう♡」 「………………ふぐぅ…………」

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