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足元がおぼつかず、少し上背のある吉崎にもたれかかるようにして歩いた。 寝室を出、通路を進む。 マンションのようだ。 ドアはすべて閉ざされて人の気配はない。 玄関前のトイレに着くと吉崎はナイフを持ったままドアを開けた。 「入って」 「……え」 壱也は嫌な予感がして立ち止まる。 「手、後ろなのに……」 「手伝えばできるだろう」 平然と言われた吉崎の言葉に壱也は強い目眩を感じた。 「……やだよ、俺」 「じゃあ、我慢するかい。君をいつ解放するかは未定だけど。それまで我慢できるかい」 「……手錠、外せよ」 「駄目。別に恥ずかしくないだろ。男同士なんだから」 男と付き合う男。 普通じゃない。 「怖いの?」 吉崎は唇の端を吊り上げて笑った。 「なんなら僕の口でする?」 初めて本性を剥き出しにしたようなその笑い方に壱也は青ざめた。 悪魔みたいな奴だ。 「まぁ、冗談だけど」 吉崎に背中を押されて洋式トイレの前に立たされる。 壱也はすぐ背後に彼の体温を感じた。 「君を襲うつもりなんてないから。安心してくれないかな。殺しもしないよ」 彼の手がファスナーに触れる。 壱也は唇を噛んだ。 ボクサーパンツを下ろされてペニスを取り出される。 他人に触られるのは初めてじゃない。 それなのに、感じてしまった下半身に気づき、そんな自分に吐き気がした。

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