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-もしもし? 「親父!?」 顔の前に掲げられた携帯から聞こえた声に壱也は仰天した。 -なんだ、壱也か? いきなりどうした…… 「親父、ふざけんなっ、テメェのせいで……っ」 吉崎が携帯を離したので壱也の台詞は中途半端なところで切れた。 吉崎は少し怒ったような顔をしていた。 「そんな口の聞き方はやめたらどう……もしもし、時夫さんですか? 僕です、吉崎です」 久し振りですね。 壱也君ですか?  僕が拉致して、手錠をかけて、今、一緒にいるんです。 ちっとも貴方に似ていないですね。 はい? 警察?  連絡したいのならどうぞ。 ……え? ふふ、まだ何もしていませんよ。 だから、今、電話をかけたんです。 不意に上体を押しつけられる。 驚いた壱也が見上げれば吉崎が背中に乗りかかっていた。 「今から始めるところです」 「なんだよッ! 襲わないって言っただろ!」 吉崎は壱也のすぐ耳元で囁いた。 「あれは嘘だよ」 彼の手が正面に回ってベルトを外す。 壱也は全身で抵抗しようと試みたが、次の吉崎の一言で気持ちが殺がれた。 「態度次第で死んじゃう、そう言ったよね?」 手錠をかけられた我が身。 不利なのはどう考えても自分。 壱也はきつく唇を噛んだ。 「……今、壱也君を押し倒したところですよ。途中で切らないでくださいね。もしも切ったら、壱也君、刺しますから」 制服のスラックスとボクサーパンツをずり下ろされて下半身が露になる。 今まで誰にも触られたことのない場所に、吉崎の指が、触れる。 ぬるっとした感触と同時に押し込まれる違和感。 「……!」 恐怖と痛みと同時に感じたことのない刺激が広がる。 壱也の目に勝手に涙が浮かんだ。 吉崎はローションで濡らした指先を容赦なく奥へと進めていく。

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