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夜に舞う蝶4

「いつもこのホテル使ってるんですか?」 ほんの一瞬、どちらの意味で言っているのか迷った。 毎回このホテルで相手を連れ込んで行為に及んでいるのか、仕事などの普段使いかどちらか。 前者の意味で尋ねられているなら、光彦から色々な情報を吹き込まれたのだろうかと疑う。 もし後者の意味で尋ねているものを、誤って前者の意味で返答してしまっては、せっかく落とそうと思っている相手に悪い印象を与えかねない。 (俺にトラップを仕掛けているつもりなら、かなり落としがいのある子だが…) 「いつもではないかな。仕事が忙しくて家に帰る暇もない時はよく使うよ。 君に愚痴っちゃいけないかもしれないけど、降ろされた前の部長が仕事が下手だったみたいでね、書類もデータも整理が全くできてなかった。それが分かって、僕の初めての部長の仕事がまず片付けからだったよ…その時はまったく家に帰れなかった」 「じゃあ、こんなことに使ったのは?」 「まさか、君が初めてだよ?ここは気に入ってるホテルだから、いつも使ってたら色々思い出して困っちゃうよ」 「ふふ、そうですね。あの、先にシャワー浴びてきてもいいですか?」 「いいよ、行っておいで」 宇海がシャワーを済ませるまで少し時間がかかると思い、秀司もこれからする行為のために準備を開始する。 セーフセックスのためのコンドーム――これはバーで光彦に言えば購入できるので、会計のタイミングで手に入れた。 そしてローション――開封済みだと相手に不快を与えるかもしれないと思い、秀司はいつもローションを小分けに詰め替えて持っているものだ。 (タオルは後で風呂場から持ってくればいいだろう) 「あの、お先です」 「じゃあ、入って来るから寛いでて。冷蔵庫の中の飲んでて良いからね。下着とかは洗濯してもらえるから、心配しないで」 (……っ!風呂上りって想像以上に艶めかしい…) 優しく落ち着いた口調で言った秀司だったが、内心は全くの偽物だった。 シャワーを浴びて湿った肌や、上気したように赤く染まった頬に欲情し、バスローブから除く胸元に髪の毛の水滴が流れ落ちた時は、喉を鳴らしそうになった。 髪のセットも落ち、眼鏡を取ったその顔は幼く可愛らしい。 バスローブの内側にある彼の身体が一体どうなっているのか気になって、今すぐにでも紐を解いてしまいたくて堪らなかったのだ。 秀司のそれは緩く立ち上がり、きっちりと己の欲望に忠実だった。 (まだだ…まだだめだ。性急なのは俺のマナーに反するだろ?) シャワーヘッドから流れるぬるま湯を頭から浴びながら、昂る本能を抑えるのに必死だった。

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