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夜に舞う蝶3

宇海は秀司の誘いを素直に受け、2人は高級なビジネスホテルへと足を運んだ。 もちろん宿泊代はすべて秀司が払うつもりだ。 「エレベーターホールで待ってて、すぐ行くから」 「あ、でもお金…」 「そんなのいいよ。2人で受付にいると君も都合が悪いことになるかもしれないし、ね?」 知り合いがどこでどのような場面を見てしまうか分からない。 同僚や上司という可能性は低かったにしても、取引相手に見られていたらかなり都合が悪い。 お互いのためにも極力それは避けたいところだった。 「すいません、できるだけ高層階でダブルベッドのところを探してください」 「かしこまりました…30階に1部屋ございますが、いかがなさいますか?」 「じゃあそこを一泊、支払いは一括で」 ブランド物の財布から、ブラックカードを取り出す。 (あんな可愛い俺好みの美人に会えたんだ。これくらいのもてなしをしないと気が済まない) 部屋の番号を伝えられ、カードキーを受け取るとすぐに宇海が待っているエレベーターホールへと向かった。 「お待たせ。さ、行こうか」 エレベーターのボタンを押し、ドアが開くのを待つ。 そのわずかな時間さえ長く感じ、焦れったくてむず痒くなる。 ドアが開くと宇海の腰に手を回してそっとエスコートする。 すぐにドアを閉めて30階のボタンを押した。 「30階…そんな高いところに?」 「高層階の方が部屋数が少なくて人に会う機会も少ないし、ゆったりできるから。だめだったかな」 「いえ、そうじゃなくて…それなら」 「ラブホの方が良いんじゃないかって?そうなんだけどね… 僕、お膳立てされるの苦手なんだよね。最近のラブホはそりゃいいんだろうけどね。それにビジネスホテルの方が落ち着いてるし。今、誰かに見られても言い訳できるから」 「こんな高級な場所…申し訳ないです」 「気にしなくていいよ。こっちらから誘ったんだから。さ、着いたよ。3004だから左側の奥の方だ」 幸いにも、誰にも会わずに部屋に入ることが出来た。 それを狙っているから当たり前なのだが。 中に入ってすぐ目に飛び込んできたのは深夜になってもなお輝き続ける夜景で、オレンジ色の間接照明で照らされた黒を基調とする部屋に似合い、より一層ムードを高めてくれる。 やぱりラブホテルよりずっといいと自分の選択に安堵する。 (部屋のデザイン選んでなかったけど、これはラッキーだ)

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