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隣りにある温もり
「ん、ふああ…くぁ」
「あ、起きちゃった。至くんよく寝てたね?」
至は微睡みの中、自分が寝すぎではないかと思い、目を開ける。
声のするほうへ顔を向けると、朝から整った顔を拝むことになった。
(み、光彦さん…朝から顔が仕事してる)
光彦の顔を見た途端、昨日の激しい情事が走馬灯のように駆け巡る。
朝から営業中の整った顔立ちと自ら晒した醜態とで意識がどこかへ行ってしまう。
「至くん?至くんってば…」
「ほぇ?」
「大丈夫?もしかして、昨日のこと思い出した?」
ニヤリとあの含み笑いをしてからかってくる。
だったらなんなんだと開き直って言い返した。
「いや?可愛い寝顔に可愛い反応…朝からいいことばかりだなって」
「ぜ、全然良くない…!可愛くないです!」
「俺には、至くんが堪んないくらい可愛く見えるんだよ」
腰を引き寄せられ、額にキスをされた。
そして、おはよと爽やかな笑顔を向けられる。
「お、はよ…ござい、ます」
「朝ごはん、食べよっか」
光彦はゆっくりと起き上がり、ぐっと伸びをし、作りっぱなしだった昨日のツマミだけどね、と肩を竦めながら部屋を出ていった。
甘ったるい雰囲気はなりを沈め、静かな朝の空気が漂う。
時計を見ると、10時になりかけていた。
「俺にしてはよく寝ていたな…」
軋む身体にムチを打ち、光彦を追ってのろのろと寝室をあとにする。
誰かと朝を迎えるのは随分と久々で、何だか冷えた胸が温かくなっている気がした。
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