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隣りにある温もり2

寝室を出ると、光彦が昨日の缶ビールなどを冷蔵庫へしまっている最中だった。 机の上には美味しそうな小鉢がいくつも並び、白米と味噌汁も湯気を立ち上らせ至を誘っている。 「用意できてるからお食べ。昨日せっかく作ったけど誰かさんを先に頂いちゃったからね。食べるタイミングなくて」 「……っ!い、いただきます」 「どーぞ、召し上がれ。お口に合うといいのだけれどね」 宅飲みの予定で机の上に広げられていた飲み物を全てしまった光彦が、少し遅れて席につき、2人で遅めの朝食をとる。 誰かが目の前にいて朝から食事など、一体いつからしてないのか。 そう思いつつも、新鮮みは感じられたが、不思議と違和感はなかった。 「美味しい…すごく」 米と一緒に食べれば程よい味になり、口の中いっぱいにうま味が広がる。 小鉢に入ったどのおかずも絶妙な味付けで、こんなにも箸の進む朝食は初めてだった。 黙々と食べる至を、光彦は頬杖をついて見守る。 「良かった。これで胃袋は掴めたかな?」 「…は?」 「…ん?」 お互いに頭の上に疑問符を浮かべ、見つめ合ったまま謎の沈黙が続く。 「俺、結構本気だよ?夜も言わなかった?」 「えーと……」 ニコリと微笑んだ顔は何だか蛇のようで、逃げられる気がしない。 昨晩のあの言葉を本気にするのは、逆に冗談だった時に自分が傷つきたくないし、恥ずかしいしで、真に受けないようにしていたが… 「至くんの中ではもう無効になってたなんてことは無いよね?」 「そ、れは…」 セックスをする前に言い逃れできなかったあの雰囲気が蘇る。 謎のプレッシャーと有無を言わなさない光彦の瞳、至を従わせてしまう声。 眼力や超能力があるわけでもないのに、なぜか従ってしまうから少し怖い。 でも、あの時は優しく見つめてくれた瞳。 至は1度でも瞳を見てしまうときっと終わりだと悟っていた。 「至くん、俺を見て」 「………や、やだ」 「言わせてくれないんだ。以外とシャイだな…やっぱり俺の至くんはすごく可愛いね」 テーブルから身を乗り出せばすぐ届く距離なせいで、至は唇を奪われた。 巧みなキステクで、また光彦のペースに引き込まれる。 「ん、ぁ…や、ふぅ」 光彦とキスをするまでは、キスがこんなにもクセになるなんて思っても見なかった。 すればするほど欲しくなる。 最初は戸惑い抵抗していた至だったが、快楽に流されて、もっと激しくして欲しいと思い始めた絶妙なタイミングで唇が離れいく。 「…あ、ぅ」 「あれ?もっと欲しかった?」 「み、光彦さ…」 「お強請りする時は、食べてもえるよう舌を出すんだよ」 欲しいと素直に言えない至は、こちらの方が性に合っていたのか、光彦の唇を求めておずおずと舌を差し出した。 「偉いね。こうして1つずつ俺が躾てあげるからね?」 光彦は笑みを浮かべながら近寄ってくる。 「昨日の続き、する?」 「……っ!」 「ふふ、またベッドに逆戻りだね」 形を確かめるようにさすられて、下着の中でパンパンに張り詰めたところを揉みしだきながら囁かれる。 「あぁ…っ、もっ」 悪魔のような囁きに身体の力が抜けそうになる。 雰囲気に呑まれ、至はまたベッドに沈みこんだ。

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