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運は誰の味方?

そろそろ切りの良いところで終わらせようと思っていたら、慎が書類を提出しに来た。 「部長、この資料の確認お願いします。あと、頼まれていたコピーです」 「ん、コピーはそこに置いておいてくれ。慎、最近仕事が早いな?」 「あ、えと…、この前言ってたバーによく行くようになって、それで今日も約束してて…」 照れくさそうに白状するその顔を見てなぜか宇海を思い出させた。 背丈や髪質は似ているのがきっと災いしているのだろう。 (あんな可愛い顔の宇海と色気の『い』の字も無いコイツのどこが似てるって言うんだよ。 会えないからって幻覚まで見るのか俺は…ったく) 「ぶ、部長?どうされました?」 「い、いや…なるほどな。そうして予定を立てて仕事がより捗ってるならいいじゃないか。 この資料は後で確認しておくからそのまま上がっていいぞ。修正があれば、机の上に置いておくから明日の朝確認してまた持って来てくれるか?」 「へ?…いいんですか!?ありがとうございます! お言葉に甘えてお先に失礼します」 手を合わせてぱぁっと顔が輝かせて喜ぶ。 その小動物のような可愛らしい仕草で再び宇海を連想してしまい、秀司はまた動揺した。 宇海と慎は似ても似つかない容姿をしているのに。 秀司はこれを禁断症状のようなもので、性に飢えているのだと思うことにした。 しかし、あの日上手くいかなかったことや、何度バー訪れても空振りに終わっていることも思い出して、余計に焦燥感が募っていく。 「あぁ、くそ…俺がこんな悶々とさせられるなんて」 (次会う時は逃がさねぇ。徹底的に抱き潰してやる… ) その時秀司の中にいた獣が目を醒ました。

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